ビットコインで一定金額以上の利益が出たら税金を納めよう!「ばれないだろう」と放置するのはNG
ビットコインをはじめとする暗号資産のトレードを行い、一定金額以上の利益(所得)を得たら、確定申告および納税をしなければなりません。「ばれないだろう」などと考えて放置していると、後日さまざまなペナルティを受ける可能性があるのでご注意ください。
本記事では、「確定申告および納税をすることの大切さ」や「どのようなタイミングで所得が発生するのか」を解説したうえで、「税金を納付しなかった場合のペナルティ」もご紹介します。ビットコインなどの暗号資産の取引をしている方や、これから売買をはじめる予定の方は、ぜひ参考にしてください。
ビットコインの売買などで一定金額以上の利益が出たら、確定申告および納税を!
確定申告が必要になるのは、以下に該当する方です。
- 事業所得者(個人事業主)
- 給与所得者で、年収が2,000万円を超える方
- 年収2,000万円以下の給与所得者で、給与所得以外の所得が20万円を超える方
会社員、公務員といった給与所得者であっても、ビットコインの売買等による所得が20万円を超えたら、確定申告をしたうえで所得税を納付する必要があります。
なお、暗号資産による所得は年末調整の対象外となっているため、手間はかかりますが、ご自身で確定申告をしてください。
税務署には調査権限がある!「ばれないだろう」と考えて放置するのは間違い
暗号資産のトレードはオンライン上で完結します。そのため、「確定申告をしなくても税務署にばれないのではないか」などとお考えになる方がいるかもしれません。
しかし、税務署・国税庁には強大な調査権限があるので、放置するのは間違いです。暗号資産のトレードによって所得を得て、納めるべき税金が発生しているのにもかかわらず納税を怠っていると、「国税通則法第74条の2」に基づいて税務調査が実施される可能性があります。
税務調査の結果、所得の申告漏れなどが判明した場合、追徴課税され、通常よりも多額の税金を納付することを余儀なくされるので、最初から適切に申告・納税するように心がけましょう。
ビットコインに関する所得が発生するタイミング
以下は、ビットコインに関する所得が発生するタイミングです。「売買」以外でも所得が発生するケースがあるのでご注意ください。
- ビットコインを売却(または、ほかの銘柄に交換)した場合
- ビットコインで商品・サービスを購入した場合
- マイニングでビットコインを獲得した場合
それぞれについて詳しく説明します。
ビットコインを売却(または、ほかの銘柄に交換)した場合
日本円でビットコインを購入し、後日、購入時点における価格よりも高い価格で売却した場合、差額分が「所得」となります。例えば、以下のような事例を考えてみましょう(話を単純化するために、必要経費が0円だったと仮定)。
- 2月15日:1BTC分のビットコインを300万円で購入した
- 6月1日:保有しているビットコインを全部売却し、400万円を得た
上記事例では、400万円-300万円=100万円が所得となります。
また、ほかの銘柄(イーサリアムなど)に交換した場合も、交換時点における価格がビットコイン購入時点の価格よりも高ければ、「所得が発生した」とみなされることにご留意ください。例えば、以下のような事例を想定しましょう。
- 5月10日:レートが「1BTC=350万円」となっているタイミングで、0.1BTC分(35万円相当)のビットコインを35万円で購入した
- 9月20日:レートが「1BTC=380万円」となっているタイミングで、保有している0.1BTC分のビットコイン(38万円相当)を全部イーサリアムに交換した
上記事例では、38万円-35万円=3万円が所得となります。
ビットコインで商品・サービスを購入した場合
近年、ビットコインで商品・サービスの購入が可能な店舗が増えていますが、店頭(またはWebサイト上)で支払いをした時点のビットコインの価格が、ビットコインを購入した時点の価格を上回っている場合、差額が「所得」とみなされるのでご注意ください。例えば、以下のようなケースを想定しましょう。
- 1月10日:レートが「1BTC=300万円」となっているタイミングで、ビットコインを0.1BTC分(30万円相当)購入した
- 5月15日:レートが「1BTC=320万円」となっているタイミングで、保有している0.1BTC分のビットコイン(32万円相当)を使って家電製品などを購入した
この場合、32万円-30万円=2万円が所得となります。
マイニングなどでビットコインを獲得した場合
ビットコインは、「暗号資産交換業者などで購入する」という方法以外に、「マイニング(採掘)」「ステーキング」「エアドロップ(無償配布)」といった仕組みで入手することも可能です。マイニングなどでビットコインを獲得した場合は、取得時点における価格(時価)が所得となります。
マイニングとは、膨大な量の計算を実施して取引内容を承認・成立させる(ブロックチェーンに新しいブロックをつなぐ)作業で、対価として暗号資産を取得することが可能です。ビットコインは、マイニングによって、中央管理者・発行者なしで産生される仕組みです。
イーサリアムなど、暗号資産によっては、ステーキングによって取引内容が承認・成立する仕組みが採用されているケースもあります。ステーキングとは、一定量の暗号資産を担保として預け入れて、取引内容の検証・承認を実施する立場(バリデーター)になり、検証・承認作業の対価として暗号資産を受け取る仕組みです。作業に関して不正があった場合は、預け入れた担保が没収されます。
なお、ハードフォークによって新しい暗号資産が誕生した場合は、誕生時点における価格(時価)は0円なので所得は発生しません。ただし、獲得した新しい暗号資産を売却すると、売却金額が所得となることにご留意ください。
ビットコインの税金を納付しなかった場合、どのようなペナルティがある?
ビットコインで所得を得て、納めるべき所得税が発生しているのにもかかわらず、期限までに確定申告および納税をしなかった場合(または、本来よりも少ない所得金額を申告した場合)、税務調査を受けたうえで追徴課税の対象になる可能性があります。以下に、追徴課税の種類をまとめました。
- 延滞税:法定納期限の翌日から完納するまでの期間に課せられる税金
- 無申告加算税:正当な理由がないのに申告期限内に申告しなかった場合に課せられる税金
- 過少申告加算税:申告期限内に提出された申告書に記載された金額が少なかった場合に課せられる税金
- 重加算税:税額などの計算の基礎となる事実の全部または一部を隠蔽・仮装した場合に課せられる税金
加算税は、本来納める税金とは別に、納付しなければなりません。
例えば、税務調査を受けるまで申告しなかった場合の無申告加算税の税率は、50万円以下の部分は15%、50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%とされています。なお、税務署からの通知が届く前に自主的に期限後申告した場合、無申告加算税の税率は5%に軽減され、過少申告加算税は課されません。
「本来納める税額が330万円で、確定申告しないまま税務調査を受けた」というケースに関して、無申告加算税がどのくらい課されるのかをシミュレーションします。この場合、以下の1.から3.までの数値を足し合わせることによって、無申告加算税の金額を計算可能です。
1. 本来納付する税額が50万円以下の部分:50万円×0.15=75,000円
2. 本来納付する税額が50万円超300万円以下の部分:250万円×0.2=50万円
3. 本来納付する税額が300万円超の部分:30万円×0.3=9万円
上記数値を合計すると、無申告加算税の金額は「665,000円」と算出されます。
それぞれの加算税が適用される条件や税率などの詳細に関しては、財務省や国税庁の公式サイトでチェックしましょう。不明な点がある場合は、自己判断するのではなく、税務署や税理士にご相談ください。所得を得た場合は、本来の税額よりも多くの税金を納付しなければならない状況に陥らないために、税法に基づいて適切に申告・納税を行いましょう。
悪質な場合、所得税法違反により刑事罰を科せられる可能性も
税務調査の結果、当局によって「悪質」と判断された場合は、脱税(所得税法第238条違反)によって刑事罰の対象となる可能性があるのでご注意ください。所得税法違反に問われると、最大で「10年以下の拘禁刑」または「1,000万円以下の罰金」が(あるいは両方が)科されます。
近年、国税庁・税務署は、AI(人工知能)を活用して、申告漏れの取り締まりを強化しています。2024年11月に国税庁が公表した「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、暗号資産取引を実施している個人に対する調査で判明した申告漏れ所得金額は1件あたり2,356万円、追徴税額の平均値は662万円です。「ばれないだろう」などとは考えず、所得が発生した場合は正直に申告・納税をしましょう。
海外取引所で暗号資産を売買した事実も税務当局間の情報交換でばれる
日本は多くの国と租税条約を締結しており、国税庁は海外の税務当局に対して情報提供を依頼することが可能です。無申告であることは税務当局間の情報交換によってばれるため、海外取引所を利用した場合も、国内取引所を利用したケースと同様に確定申告・納税しなければなりません。
2027年からは「CARF」による情報交換が開始されるため、無申告者の把握が現在よりも容易になります。CARF(Crypto-Asset Reporting Framework)とは、暗号資産取引に関する情報を取引所が税務当局に報告し、各国の税務当局間で共有する枠組みです。2022年から2023年にかけて、OECD(経済協力開発機構)によって策定されました。
なお、暗号資産の取引に先行し、銀行・証券会社などの口座情報に関しては、すでに各国の税務当局間で共有する仕組み「CRS(共通報告基準)」が存在します。OECDによって2014年に策定されたものであり、日本では2018年にCRSによる情報共有が開始されました。
CARFにおいて情報交換の対象とされる税務情報には、以下の項目が含まれます。
- 取引所の利用者に関する情報(氏名・住所・居住国・生年月日など)
- 暗号資産の購入・売却に関する情報
- 暗号資産の交換・受領・移転に関する情報
日本政府は、CARFによる情報交換を見据えて、2024年度税制改正において租税条約実施特例法を見直す体制整備に着手しています。54ヶ国で包囲網を構築することが想定されており、今後は無申告のまま見逃されるケースは減少するでしょう。初年度の2027年には日本・イギリス・フランスなどで情報交換が実施される予定であり、2028年からはアメリカも加わる見込みです。
CARFによる情報交換が開始されていない現時点においても、国税庁は暗号資産取引の監視に注力しており、取り締まりを実施しています。例えば、2023年度には、暗号資産取引に絡み、535件の税務調査を実施しており、申告漏れ所得金額は126億円(追徴税額は35億円)でした。
クリプトマネージで、ビットコインの損益計算を自動化しよう!
暗号資産の売買などで所得を得たら、必ず確定申告・納税を実施しましょう。税務署や国税庁には強大な調査権限があるため、「ばれないだろう」と思って放置していると、加算税などを課されたり、刑事罰を科されたりする可能性があります。
税法に基づいて適正に確定申告・納税を行うためには、損益計算を正しく実施しなければなりません。しかし、手作業では多大な時間・労力がかかり、しばしば計算ミスや転記ミスも発生します。
そこで、おすすめなのが「クリプトマネージ」を利用してビットコインの損益計算を自動化することです。クリプトマネージは、9,400種類の銘柄や、国内・海外の主要取引所のほか、ウォレットにも対応しており、税務調査に耐えうる取引履歴データの作成が可能です。そのほか、損益・残高情報をグラフで表示する機能もあります。
クリプトマネージの開発には暗号資産の専門知識を持つ税理士が携わっており、最新の税法に合わせて随時計算ロジックを自動的に修正するので安心です。「面倒な損益計算の手間を軽減したい」とお考えの方は、ぜひ導入をご検討ください。

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