暗号資産(仮想通貨)の税制について徹底解説!いつから分離課税が開始される?

更新日:2025/11/26 公開日:2024/1/30

2025年11月下旬時点においては、暗号資産(仮想通貨)の取引で得た所得には「総合課税」が、FXなどの取引で得た所得に対しては「分離課税」が適用されます。

以前はFXの所得に対しても総合課税が適用されていましたが、税制改正で分離課税に変更されたという経緯があるため、「いつから暗号資産の所得にも分離課税が適用されるようになるのか知りたい」という方もいるのではないでしょうか。

そこで、本記事では、現時点の暗号資産税制について解説したうえで、業界団体・行政機関による税制改正の働きかけや、海外の税制をご紹介し、いつから暗号資産の所得に対して分離課税が適用されるようになるのかを考察します。

現時点では暗号資産(仮想通貨)の所得には「総合課税」が適用される

2025年11月21日時点では、暗号資産の所得は基本的に「雑所得」に分類され、「総合課税」が適用されます。総合課税とは、個人が得た所得(給与所得、雑所得など)を合計した金額に対して、所得額に応じた税率をかけて所得税額を算出する課税方法です。

なお、総合課税では、課税所得が多くなるほど税率が高くなる「累進課税方式」が採用されています。暗号資産取引で多額の所得を得たら、高額の税金が発生することを認識しておきましょう。

株式やFXなどの所得には「分離課税」が適用

投資家のなかには、暗号資産取引だけではなく、株式の売買やFX、商品先物取引なども行っている方がいるかもしれません。

暗号資産取引で得た所得とは異なり、株式の売買やFX、商品先物取引などで得た所得には「分離課税」が適用されます。分離課税とは、ほかの所得と合算させずに、特定の所得のみを分離し、その金額に一定の税率をかけて所得税額を算出する課税方式です。

なお、ご自身で確定申告・納税を行う「申告分離課税」と、証券会社などが源泉徴収を行う「源泉分離課税」の2種類があります。

暗号資産の所得は、いつから分離課税が適用される?

暗号資産の値動きは激しいため、売買したタイミングによっては(急落して底値になったタイミングで購入し、高騰して天井になったタイミングで売却した場合)、多額の所得を得る可能性があります。

上述したように、現時点では暗号資産の所得に対しては総合課税が適用され、所得額が大きくなるほど税金の負担も重くなっていくため、「株式の売買やFXなどのように、一定税率の分離課税になってほしい」という方もいるのではないでしょうか。

いつから分離課税が適用されるのかを正確に予想することは困難です。しかし、FXで得た所得に関しては、過去の税制改正で総合課税から分離課税に変更されたので、将来、暗号資産に関しても課税方式が変更されるかもしれません。

FXの場合、過去の税制改正で総合課税から分離課税に変更された

以前は、FXで得た所得に対して総合課税が適用されていました。しかし、2012年に税制改正が行われ、分離課税に変更されたという経緯があることを把握しておきましょう。つまり、「現時点で総合課税であっても、将来、分離課税に変更される可能性はある」ということです。

すでに暗号資産の取引所の口座数は、FXの所得が分離課税に変更された時期のFX取引口座数を超えています。また、後述するように、業界団体による要望・働きかけも行われているため、近い将来、「暗号資産の課税方式が分離課税に変更される」というニュースが流れるかもしれません。

業界団体・行政機関による税制改正の要望・働きかけ

一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会および一般社団法人日本暗号資産等取引業協会は2025年7月30日に、「2026年度税制改正に関する要望書」を政府に提出し、暗号資産で得た所得に対する課税方式を分離課税(所得税および住民税の合計で一律20%の税率)に変更するように働きかけています。

また、金融庁も「令和8年度税制改正要望事項」において、暗号資産取引で得た所得に関して、以下のように要望しました。

暗号資産取引を他の多くの金融商品と同様の分離課税とすることで、暗号資産を含めた多様な金融商品に投資しやすい環境を整備し、国民の安定的な資産形成を支援する。

「他の多くの金融商品と同様の」という文言が記載されており、将来的に分離課税に移行する際は、株式・ETF・投資信託と同様に税率が一律20%とされる可能性があります。この要望は、民間団体ではなく、行政機関(金融庁)が出したものなので、今後、税制改正に向けて動きが加速することが期待されます。

今後、国民各層における議論が活発化し、課税方式の変更への期待が高まれば、早期に分離課税への変更が実現するかもしれません。定期的に税制改正に関するニュースをチェックすることをおすすめします。

分離課税に移行した場合のシミュレーション

暗号資産で得た所得に関して「一律15%」の税率(所得税のみを考慮)がかかる分離課税に移行した場合に、どのくらいの税金がかかるのか(現行の総合課税の税制に比べて、どのくらい税金の負担が減るのか)をシミュレーションします。

下表に、「給与所得(各種所得控除額差引後の課税所得額)が100万円・300万円・500万円・800万円の会社員が暗号資産の売買で100万円の所得を得たケース」について試算した結果をまとめました。総合課税の対象とされる給与所得に関しては、国税庁公式Webサイトの「No.2260 所得税の税率」に掲載されている「所得税の速算表」を使用して所得税額を算出できます。

‍給与所得(各種所得控除額差引後の課税所得額)100万円300万円500万円800万円
暗号資産で得た所得の課税方式が総合課税の場合所得税額:200万円×0.1-97,500円=102,500円所得税額:400万円×0.2-427,500円=372,500円所得税額:600万円×0.2-427,500円=772,500円所得税額:900万円×0.33-1,536,000円=1,434,000円
暗号資産で得た所得の課税方式が分離課税の場合

給与所得に課される所得税:100万円×0.05=50,000円

暗号資産の所得に課される所得税:100万円×0.15=150,000円

合計:200,000円

給与所得に課される所得税:300万円×0.1-97,500円=202,500円

暗号資産の所得に課される所得税:100万円×0.15=150,000円

合計:352,500円

給与所得に課される所得税:500万円×0.2-427,500円=572,500円

暗号資産の所得に課される所得税:100万円×0.15=150,000円

合計:722,500円

給与所得に課される所得税:800万円×0.23-636,000円=1,204,000円

暗号資産の所得に課される所得税:100万円×0.15=150,000円

合計:1,354,000円

なお、上表の内容は、所得税のみを考慮してシミュレーションを実施した数値です。実際には、所得税のほかに、復興特別所得税や住民税もかかります。また、税額控除(住宅ローン控除など)に関しては考慮していないため、あくまでも「おおよその目安」として参考にしてください。

所得によって、分離課税のほうが有利な場合(トータルの税金が少ないケース)もあれば、総合課税のほうが有利な場合もあるでしょう。税制が改正されて分離課税が導入されると、高額納税者の負担は軽減されますが、所得が低い場合は恩恵を受けられるとは限りません。税額をシミュレーションしたうえで、ご自身にとって有利な課税方式を選択することが重要です。

海外の暗号資産税制

税制は、国によって異なります。以下、主要国の暗号資産に関する税制をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

  • アメリカ:1年以上保有している暗号資産には、最大税率20%の申告分離課税が適用(保有期間が1年未満の暗号資産に関しては、累進課税が適用)
  • ドイツ:年間利益が600ユーロ以下の場合や、1年以上保有している暗号資産の売却・交換については、原則として非課税
  • イギリス:20%の固定税率(納税者区分による)
  • フランス:30%の固定税率と累進税率を選択可能で、年間利益が305ユーロ以下の場合は非課税

このように、海外では暗号資産の取引で得た所得に関して、「分離課税」や「非課税」とされているケースもあります。「日本の暗号資産税制が分離課税に改正されるまで待てない」という方は、海外に移住することも選択肢のひとつです。

ただし、言語や文化、食生活などの違いがあるため、現地の生活に適応できるとは限りません。海外移住に不安を感じる場合は、日本国内で制度改正を待つほうが良いでしょう。

分離課税導入後の暗号資産税制を予想

現時点(2025年11月下旬時点)では具体的な制度設計が発表されていませんが、分離課税がすでに導入されている金融商品(株式・ETFなど)に対する税制を踏まえて、暗号資産税制がどのように変わるのかを予想します。

税理士・公認会計士や業界関係者のなかには、以下のように予想・主張する者が見受けられます。

  • 「分離課税の対象とされるのは、国内の取引所で新規に売買した暗号資産に限定される」
  • 「海外の取引所やDEX(分散型取引所)で売買した者に関しては分離課税の対象外とされる」
  • 「税制改正前から保有している暗号資産は対象外とされる」
  • 「条件を満たせば、DEXやDeFiで取引したケースも分離課税の対象とするべきである」

論者によって見解が異なる部分もありますが、株式・ETFなどの売買と同様に、一定の条件(例えば、「国内取引所で制度改正後に新規に売買する」など)を満たす場合に分離課税を選択できる制度になる可能性があります。詳細に関しては、制度設計が正式に発表されるまで待ちましょう。

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現状では、暗号資産による所得は「総合課税」となっています。今後、「分離課税」に変更されるかもしれないので、各種メディアの報道をこまめにチェックしましょう。

暗号資産で所得を得た場合、確定申告・納税のために、「損益計算」を行わなければなりません。手作業で実施することも可能ですが、計算ミスや転記ミスが発生しやすいので、ITツールで損益計算を自動化するほうが良いでしょう。

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監修者情報
金子 賢司 HP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

【保有資格】CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

【保有資格】CFP

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会社名 株式会社イー・ラーニング研究所
代表取締役 吉田 智雄
本社 〒564-0063 
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