暗号資産(仮想通貨)の所得は住民税の課税対象になる!申告が必要な方や申告するやり方などを紹介
暗号資産(仮想通貨)の売買やマイニング、レンディングなどで一定金額以上の所得を得た場合、税務署に確定申告をした上で、所得税を納めなければなりません。加えて、住民税の納付も原則として必要になることを認識しておきましょう。
本記事では、所得税と住民税の違いや、暗号資産の所得が住民税の課税対象でもあることを詳しく解説します。暗号資産による所得が発生するタイミングや、住民税申告の手順なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
所得税と住民税の違い
まず、「所得税」と「住民税」の違いを説明します。
所得税とは?
所得税とは、個人の所得に対して課せられる税金です。1年間の合計所得金額から所得控除額を差し引いて算出される「課税所得額」に、税率をかけて計算される仕組みであり、所得が大きくなるほど税率が高くなります。
なお、所得税は国税であり、確定申告書の提出先および税金の納付先は、一般的に住所地を所轄する税務署となることを覚えておきましょう。
住民税とは?
住民税(個人住民税)は、地域の住民に対して課せられる「地方税」の一種です。「教育、福祉、消防・救急など、地域社会で必要となる費用を地域住民で負担する」という性質の税金であり、市区町村が「市町村民税」と「道府県民税」の両方の徴収事務を担当していることを理解しておきましょう。
なお、非課税限度額を上回る場合に一定額が課税される「均等割」に加えて、課税所得金額に応じて課税される「所得割」を負担する仕組みになっています。
暗号資産(仮想通貨)の所得は、所得税だけではなく、住民税の課税対象でもある
暗号資産の売買やマイニング、レンディング、エアドロップなどによる所得は、所得税だけではなく、住民税の課税対象にもなります。
給与所得者(会社員、公務員、私立病院職員、私立学校職員など)の場合、暗号資産による所得が年間20万円以下であれば、税務署に確定申告する必要はありません。しかし、住民税に関しては、原則として申告する義務があることにご留意ください。
暗号資産の利益に住民税が課せられる条件
暗号資産による所得が「1円」でもあれば、原則として住民税の申告・納税をしなければなりません。所得税と異なり、住民税の場合、「サラリーマンなら、20万円以下の所得であれば申告不要」という仕組みにはなっていません。
なお、納めるべき住民税が発生しているにもかかわらず、申告・納税をせずに放置していた場合や、本来よりも少ない金額を申告・納税した場合は、加算金(不申告加算金・過少申告加算金)や延滞金が課せられ、本来よりも高い金額の税金を納めることを余儀なくされる可能性があります。
確定申告が不要でも住民税申告が必要な場合がある
個人事業主の場合、原則として毎年、確定申告をすることになります。しかし、サラリーマンの場合は年末調整で各種控除を受けることが可能であり、税金や社会保険料も給与から天引きされています。そのため、「確定申告の方法が理解できていないので、手間を省くために暗号資産による所得金額を20万円以下に抑えよう」とお考えになる方がいるかもしれません。
しかし、上述したように、暗号資産による所得を20万円以下に調整しても、所得税に関しては確定申告が不要である一方で、住民税に関しては原則としてサラリーマンであっても申告が必要になるのでご注意ください。
なお、医療費控除などを受けるために確定申告をした場合は、税務署(国税庁)から市区町村にデータが送られるため、住民税申告が不要になります。
また、「収入から経費を差し引いた金額」が所得となることにもご留意ください。暗号資産による収入よりも電気代や通信費などの経費が上回る場合は、所得が0円となるため、住民税の申告は必要ありません。
住民税の申告に関する話題を見聞きする機会が少ない理由・背景事情
現在の日本においては、年収2,000万円以下の給与所得者(サラリーマン)が圧倒的多数です。例えば、国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」(2025年9月に公表)によると、給与所得者のうち年収2,000万円を超える割合はわずか0.5%と報告されています。
年収2,000万円以下の給与所得者は、原則として確定申告が不要です。例外的に、「暗号資産などで20万円を超える副業所得がある」「医療費控除を受ける」といったケースでは確定申告しなければなりません。しかし、年末調整で対応できる控除のみを受ける方は、勤務先にお任せの状態で、税金に関する知識がない可能性があります。
年収2,000万円を超える給与所得者や、事業所得者の場合は、暗号資産などによる副業所得があるかどうかにかかわらず、確定申告が必要です。なお、確定申告した方は、住民税の申告を実施する必要がありません。これは、税務署・国税庁から自治体に確定申告のデータが送付され、それに基づいて自治体が住民税などの金額を計算する仕組みが構築されているためです。
このような事情により、確定申告する義務があり、税務署への申告方法は知っている方でも、自治体に住民税の申告を実施する方法に関しては詳しくないケースが多いかもしれません。
住民税の申告が必要なのは「年収2,000万円以下の給与所得者で確定申告は行わないものの、暗号資産などで20万円以下の副業所得がある」というケースに限定されるため、家族・知人・友人などから話題を見聞きする機会が乏しい状況にあります。
暗号資産による所得が発生するタイミング
以下に、暗号資産による所得(利益)が発生する主な条件・タイミングを示します。
- 暗号資産を売却した場合
- 別の種類の暗号資産に交換した場合
- 暗号資産で買い物をした場合
- マイニングやレンディング、ステーキングなどによって暗号資産を取得した場合
取引所における「売買」だけではなく、暗号資産で買い物をした場合や、マイニング、レンディング、ステーキングなどで暗号資産を取得した場合も、「利益を得た」とみなされることにご留意ください。
なお、上述したように、所得は収入から必要経費を差し引いたものなので、経費(マイニングに要した電気代、パソコン購入費用などの合計額)が収入を上回っている場合は所得がゼロとなります。
上記の4つのケースについて詳しく説明します。
【関連記事】暗号資産(仮想通貨)の税金について徹底解説!所得が発生するタイミングとは?
①暗号資産を売却した場合
購入時よりも高い価格で暗号資産を売却(日本円に交換)すると、差額が利益とみなされます。
例えば、レートが「1BTC=500万円」の際に1BTCのビットコインを購入し、後日、レートが「1BTC=1,000万円」の際に1BTCを売却した場合は、差額の500万円が利益です。
②別の種類の暗号資産に交換した場合
別の種類の暗号資産に交換した場合も、取得時よりも値上がりしているのであれば、差額が利益とみなされます。
例えば、レートが「1BTC=600万円」の際に1BTCのビットコインを購入し、レートが「1BTC=900万円」の際に全量をイーサリアムに交換したケースでは、差額の300万円が利益です。
③暗号資産で買い物をした場合
一部の店舗・ECサイト(ビックカメラなど)では、暗号資産で商品・サービスの購入代金を支払うことが可能です。暗号資産で買い物をした場合、決済手段として利用した際の価格が取得時の価格よりも高ければ、差額が利益とみなされます。
例えば、レートが「1BTC=500万円」の際に0.05BTC(25万円相当)のビットコインを取得し、レートが「1BTC=1,000万円」の際に50万円の商品を購入するために0.05BTC(50万円相当)で決済したケースでは、差額の25万円が利益です。
④マイニング・レンディング・ステーキングなどで暗号資産を取得した場合
マイニング・レンディング・ステーキング・エアドロップなどで暗号資産を取得した場合は、「取得時点における市場価格」が利益とみなされます。
なお、所得は、収入から必要経費(電気料金や機材の購入費用など)を差し引いた金額です。その際には、家事で使用した分は除外し、マイニングなどで使用した分のみを経費として計上しなければなりません。
ハードフォークによって新たに誕生した暗号資産を取得した際には、取得時点では市場価格が形成されていないため、利益がゼロとみなされます。その後、市場価格が形成されてから、売却したり別の暗号資産と交換したり決済手段として利用したりした場合、利益を得たとみなされることにご注意ください。
住民税申告の手順
以下は、住民税申告の流れです。
- 日頃から、必要経費に関する領収書を保存し、暗号資産の取引に関する記録を作成しておく
- 1年間の収入から経費を差し引いて、所得金額を計算する
- 市区町村役場から住民税申告書を入手し、所得額などを記入した上で提出する
住民税申告書の様式は、市区町村ごとに異なります。窓口で紙の申告書を入手するか、各自治体の公式サイトから様式をダウンロード・印刷し、必要事項を記入した上で提出しましょう。計算方法・記入方法に関して不明な点がある場合は、市区町村の税務担当窓口や税理士などにご相談ください。
「令和8年度税制改正の大綱」で暗号資産の所得に分離課税が導入される方針が示された
2025年12月26日に閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」において、金融商品取引法などの改正を前提に、以下の措置を講じる方針(一定の条件を満たす暗号資産取引で得た所得に対して分離課税を適用する方針)が示されました。
| 居住者等が、暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等に限る。以下「特定暗号資産」という。)の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、他の所得と分離して20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率により課税する。 |
また、同大綱では、金融商品取引法の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後に実施する特定暗号資産の譲渡から上記措置を適用する方針も示されています。
そのため、2026年には分離課税は導入されず、将来、金融商品取引法が改正され、改正法が施行された後に、その翌年から暗号資産の税制が分離課税に移行することが予想されます(例えば、2026年に改正法が施行された場合は2027年から、2027年に施行された場合は2028年から分離課税の適用が開始)。
現在の審議状況を詳しく知りたい場合は、国会の公式サイトや各種メディアの報道をチェックしましょう。
分離課税導入後、住民税の申告などはどのように変わる?
「分離課税導入後、住民税の申告はどうなるのか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。現時点では暗号資産の分離課税に関する詳しい制度設計が発表されていませんが、すでに分離課税が導入されている「株式」のケースが参考になるかもしれません。
株式に関しては、源泉徴収を受ける場合は、それで課税関係が完結し、税務署への確定申告や住民税の申告は不要です。また、株式による所得額が国民健康保険料(税)の算定に影響を及ぼさない仕組みです。
しかし、源泉徴収を受けない場合は、総合課税または申告分離課税で所得税・住民税の申告が必要で、株式による所得額が国民健康保険料(税)の算定に影響を及ぼす可能性があります。
下表に、株式の売買方法(確定申告の有無)と国民健康保険料(税)の算定の関係をまとめました。
株式の売買方法(確定申告の有無) | 国民健康保険料(税)の算定 |
| 確定申告が不要な場合(源泉徴収ありの特定口座で株式を売買した場合) | 株式売買で得た所得額が国民健康保険料(税)の算定に影響を及ぼさない |
| 総合課税・申告分離課税で確定申告した場合(源泉徴収を受けない場合) | 株式売買で得た所得額が国民健康保険料(税)の算定に影響を及ぼす |
令和4(2022)年度の税制改正により、現在では所得税と住民税の課税方式を一致させる制度になっています。そのため、税務署への確定申告で総合課税を選択した方は住民税申告でも総合課税、確定申告で分離課税を選択した方は住民税申告でも分離課税が適用されます。
暗号資産でも、株式の場合と同様に、「納税者が各種方式を選択し、それを踏まえて必要な対応が変わる仕組み」が構築されるかもしれません。詳細は、金融庁の公式サイトなどで正式に発表されるのを待ちましょう。
暗号資産の取引をするなら、クリプトマネージで確定申告や住民税申告に備えよう
暗号資産による所得(売買やマイニング、レンディング、ステーキングなどによって得た収入から、パソコン購入費、電気代などの必要経費を差し引いた金額)が1円でもある場合は、確定申告の必要がない給与所得者であっても、原則として住民税の申告をしなければなりません。
なお、確定申告や住民税の申告を行うためには、日頃から領収書の保管に努め、暗号資産の取引に関する記録を作成した上で、記録に基づいて損益を計算する必要があります。損益計算は手作業でも実施することが可能ですが、多大な時間・労力を要し、ヒューマンエラー(計算ミスや転記ミス)も発生しやすいので、自動計算が可能なITツールを利用するほうがよいでしょう。
おすすめのITツールは、株式会社イー・ラーニング研究所が開発・提供している「クリプトマネージ」です。売買だけではなく、マイニングやレンディング、ハードフォーク、エアドロップ、ICO投資、DeFiなどのデータも管理することが可能で、税務申告や税務調査に備えた取引履歴データを作成できます。
対応銘柄は約9,400種類で、国内外の主要取引所(GMOコイン、bitFlyer、Coincheck、POLONIEX、BINANCE、BITTREXなど)の取引データを読み込めるほか、対応外の取引所やウォレットのデータにも手動で対応できるので、ぜひご活用ください。
クリプトマネージの開発には、暗号資産の専門知識を有する税理士が携わっています。移動平均法・総平均法どちらでも計算することが可能であり、最新の税法に合わせて随時計算ロジックが改訂される仕組みになっているので、近い将来、分離課税が導入されても安心です。
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