海外取引所でも暗号資産(仮想通貨)の取引は可能!税金について詳しく解説
暗号資産(仮想通貨)の種類によっては、日本国内の取引所では取り扱われていないケースがあります。そのような銘柄を売買したい場合は、海外取引所でトレードすることも選択肢として検討しましょう。
なお、海外取引所の利用には注意が必要です。日本居住者の場合、国内取引所や海外取引所といった区分がされず、日本の税法に基づいて暗号資産トレードで得た所得に税金が課せられます。そのため、海外取引所の取引履歴をダウンロードして、ご自身で損益計算を行い申告する必要があります。
本記事では、「海外取引所で暗号資産のトレードをしよう」とお考えの方に向けて、税金について詳しく解説したうえで、海外取引所を利用するメリットや注意するべき点もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
海外取引所における暗号資産(仮想通貨)の取引とは?
海外取引所では、基本的に日本語による適切なサポートは望めません。また、言語の違いが原因で、詐欺被害に遭うリスクも高くなります。加えて、国ごとに法規制のあり方が異なり、何らかのトラブルが生じた際に訴訟を起こすことも容易ではないため、なるべく日本国内の暗号資産交換業者を利用するほうが良いでしょう。
ただし、投資家が海外取引所を利用して暗号資産(仮想通貨)を取引することは、2023年時点においては法律などの規制はありません。後述するように、海外取引所には、「取り扱い銘柄が豊富で、国内取引所ではトレードできない暗号資産も売買できる」などのメリットがあります。リスクを正しく理解したうえで、海外取引所を利用することも選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
海外取引所で得た所得であっても、日本居住者は日本の税法に基づいて税金が課せられる
日本に居住しているスポーツ選手やダンサー、音楽家などが、海外で試合や公演をして所得を得た際には、海外で納税するのではなく、日本の税務署に対して確定申告および納税をすることになります。
同様に、インターネットを介して海外取引所で暗号資産を売買することによって得た所得であっても、日本居住者の場合は、日本の税法に基づいて国内で確定申告・納税をしなければなりません。
なお、所得税法上、「国内に住所を有する個人」や「現在まで引き続き1年以上国内に居所を有する個人」は国内居住者に該当し、それ以外の個人は非居住者に該当します。
暗号資産による所得は、基本的に雑所得に区分される
暗号資産による所得は、基本的に「雑所得」に区分されます。なお、国内のFX業者などでトレードをして得た所得の場合は「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」が適用され、「申告分離課税」となりますが、暗号資産による所得に関しては「総合課税」となることにご留意ください。
申告分離課税とは、ほかの所得(給与所得など)と分離して税額の計算をし、確定申告・納税をする仕組みであり、15%の税率の所得税(および地方税5%、復興特別所得税0.315%)が課せられます。
他方、総合課税とは、各種の所得金額を合計して総所得金額を求め、これに対して税額を計算し、確定申告・納税をする仕組みです。総合課税の場合、所得金額が高くなるほど、税率が高くなります。
海外取引所を利用するメリット
以下、海外取引所を利用するメリットを3つご紹介します。
国内の取引所で取り扱われていない銘柄が上場されている
取引所で暗号資産(仮想通貨)の取り扱いが開始されることを暗号資産の上場と表現します。国内の暗号資産交換業者では、限られた銘柄しか上場していません。
ビットコインやイーサリアムなど、メジャーな銘柄であれば国内業者でも取引可能ですが、マイナーな銘柄は取り扱われていないのが現状です。また、新しく誕生した銘柄に関しても、慎重に審査が実施されるため、すぐには上場されません。
一方、海外取引所では多種多様な銘柄が取り扱われており、新しく誕生した銘柄もスピーディーに上場される傾向が見受けられます。
レバレッジ取引の最高倍率が国内取引所よりも高い
2023年10月時点においては、国内業者を利用して暗号資産の証拠金取引を実施する場合、レバレッジ取引の倍率が最大で「2倍」までに制限されています。業界団体が「レバレッジ倍率の上限を引き上げるべき」と提言しているものの、規制が変更されるかどうかは不透明です。
海外取引所では、レバレッジ取引の最高倍率が国内業者よりも高い傾向があり、100倍を超えるケースも見受けられます。
「ゼロカットシステム」を採用している海外取引所も存在
海外取引所のなかには、「ゼロカットシステム」を採用しているケースも見受けられます。ゼロカットシステムとは、「相場が急変して預け入れた証拠金以上の金額の損失が生じた場合であっても、利用者は追加証拠金を請求されない仕組み」です。
国内業者で暗号資産の証拠金取引をする場合、価格が思惑と反対方向に動き、預け入れた証拠金以上の損失が生じると、その金額を「追加証拠金」として入金しなければなりません。追加証拠金を期限までに入金できなかった場合は、保有中のポジションが強制決済されるほか、最悪の場合には財産の差し押さえなどの法的措置に移行する可能性もあります。
その点、ゼロカットシステムを採用している海外取引所なら、投資家が負債(借金)を抱えるリスクがないので安心です。
海外取引所を利用する際に注意するべき点
海外取引所には、メリットだけではなくリスクもあります。以下、注意するべき点を3つご紹介するので、しっかりと理解したうえで海外取引所を利用しましょう。
詐欺の被害に遭うリスクがある
独立行政法人国民生活センターの相談事例によると、「マッチングアプリなどで出会った人物から言葉巧みに海外取引所への入金を促され、トレードをしたものの、出金できなくなった(実際には取引所ではなく、詐欺師のダミーサイトだった)」という手口の詐欺事件が発生しているのでご注意ください。
なお、国内取引所であれば、金融庁公式サイトの「暗号資産交換業者登録一覧」を閲覧することで、登録業者であるか確認することが可能です。
国ごとに暗号資産の法律面での取り扱いが異なる
暗号資産に関する法律は国ごとに異なり、日本のように金融当局に登録をしなければ取引所として営業できない国もあれば、暗号資産に関する法整備が遅れている国や、規制が緩い国もあります。
なかには、「取引所を装いつつ、最初から顧客の資産を持ち逃げすることを前提としたサイト」も存在するのでご注意ください。
税金の計算に必要な「年間取引報告書」が発行されない
金融庁の要請もあり、国内の暗号資産交換業者では、1年間の損益に関する情報が記載された「年間取引報告書」の発行に対応しているのが一般的です。
しかし、海外取引所では、年間取引報告書に相当する書面が発行されません。
海外取引所を利用するなら、クリプトマネージで損益を自動計算しよう
海外取引所を利用する場合は、年間取引報告書が交付されず取引履歴をダウンロードしご自身で暗号資産の売買に関する記録を作成したうえで、損益計算をする必要に迫られます。
手作業で実施することも可能ですが、多大な時間・労力を要し、ミスも発生しやすいため、株式会社イー・ラーニング研究所が開発・提供しているITツール「クリプトマネージ」で損益計算を自動化しましょう。
POLONIEX、BINANCE、BITTREXといった主要海外取引所のデータに対応しているほか、これ以外の取引所やウォレットのデータも手動で取り込めるので、ぜひご活用ください。