ビットコインのマイニングをする方は必見!税金について徹底解説
ビットコインは、「暗号資産交換業者を通じて購入する」という方法のほかに、「マイニング」によって獲得することも可能です。
そこで、本記事では、ビットコインのマイニングを検討している方に向けて、マイニングの種類について詳しく解説します。
そのうえで、マイニングで得たビットコインが「所得」とみなされ、確定申告や納税をしなければならないケースがあることや、注意するべき点もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ビットコインのマイニングとは?
法定通貨(日本円、米ドル、ユーロなど)は、各国の中央銀行によって発行・供給されています。しかし、ビットコインには特定の管理者・発行主体が存在しません。
「いつ、誰が、どのくらいの量のビットコインを取引したのか」という情報は、「ブロック」という単位にまとめられたうえで、それを鎖のように連ねた「ブロックチェーン」(分散型台帳の一種)に記録され、ネットワークの参加者の間で共有されています。
そして、ネットワークの参加者によって、ブロックチェーンに新規ブロックがつなげられて、不正がないかどうかをチェックするための計算が実施されますが、この作業を「マイニング(採掘)」と呼ぶことを覚えておきましょう。
具体的には、マイニングは、以下の流れで実施されます。
- 「ナンス(ノンス、nonce)値」を発見する
- トランザクション(取引)のデータをハッシュ値に変換する
- ナンス値とハッシュ値をブロックに保存する
- マイニング報酬を受け取る
ブロックチェーンは多数のブロックが連なった構造で、トランザクションのデータは、そのままの状態で保存されるのではなく、「ナンス値」と呼ばれるデータを加えたうえで、「ハッシュ値」と呼ばれる固定長のデータに変換(暗号化)されています。
ハッシュ値とは、ハッシュ関数(任意の長さの入力値に対して短い出力値を生成する一方向性関数)によって算出された数値です。ハッシュ関数にはさまざまな種類がありますが、ビットコインの場合は「SHA-256」が用いられています。
なお、ナンス値を少しずつ変化させながら、ハッシュ値の計算結果が先頭からのビットに一定数の0が連続する条件を満たす数値となった場合(ブロックチェーン全体の整合性が保たれることが確認された場合)に、新しいブロックとして承認される仕組みです。このナンス値を発見する作業は、マイニングの核心部分で、高性能なパソコンを用いて総当たりで計算を繰り返すことが必要です。
マイニングによって新たなビットコインが産出され、計算した個人・組織(マイナー)に対して報酬として付与されることになります。なお、膨大な計算が必要であり、他者との競争に勝ち抜かなければ報酬を得られません。
ちなみに、「計算によって取引の検証・合意形成を行う仕組み」を「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work)」と呼び、中央集権的な管理者の存在なしで取引記録の改竄防止を実現しています。
マイニングの種類
マイニングの手法は、以下の3種類に大別されます。
- ソロマイニング
- プールマイニング
- クラウドマイニング
それぞれの特徴を理解したうえで、ご自身に適した手法を選びましょう。
ソロマイニング
ソロマイニングとは、個人が単独でマイニングを実施する手法です。ビットコインが誕生したばかりの時期は、ソロマイニングが盛んでした。
なお、ソロマイニングには、「報酬を独り占めできる」というメリットがある一方で、「性能の高いコンピュータを用意しなければならない」「電気代がかかる」といったデメリットもあります。
計算の競争に勝利できなければ報酬を獲得できないため、最近では、後述するプールマイニングやクラウドマイニングが主流になってきました。
プールマイニング
プールマイニングとは、複数のマイナーが協力してマイニングを実施する手法で、提供したマシンパワーに応じて報酬を受け取る仕組みになっています。
複数人が参加することでマシンパワーが大きくなり、計算競争に勝ち抜いて報酬を得る可能性が高まりますが、マイニング報酬の独り占めはできません。
なお、運営者によって手数料が差し引かれるほか、ソロマイニングと同様に計算するための機材を購入する必要があり、電気代もかかります。
クラウドマイニング
クラウドマイニングとは、マイニングを実施している企業に出資し、出資額に応じた報酬を得る仕組みです。
ソロマイニングやプールマイニングと異なり、自ら機材を購入したり、マシンを稼働させたりする必要はありません。そのため、マイニングやコンピュータに関する知識を持たない方であっても、クラウドマイニングなら気軽に参加することが可能です。
なお、自身で工夫できる余地はなく、出資した企業の信用リスクにも注意が必要です。クラウドマイニングに参加する際には、信頼できる企業であるかどうかを見極める力が求められます。
マイニングで得たビットコインは「所得」とみなされる
暗号資産交換業者でビットコインの売買をして利益を得た場合だけではなく、マイニングによって取得した場合も「所得」とみなされることにご留意ください。
なお、国税庁は、「「取得時点の価額(時価)からマイニングに要した費用(機材の購入費、電気代など)」を差し引いた金額が所得に該当する」という主旨の見解を示しています。
パソコンの購入費用や電気代、手数料などは「必要経費」として計上することが可能なので、領収書を大切に保管しておきましょう。
具体例として、以下のケースについて所得金額を試算します。
- マイニングを実施し、市場価格が「1BTC=500万円」のタイミングで1BTC分のビットコインを獲得した
- マイニング専用のパソコン(50万円)を購入して使用した(マイニング以外の用途では一切使用しなかった)
- 電気代・通信費として1年間で10万円かかった(マイニング以外で利用した分は除外)
このケースの所得金額は、500万円-50万円-10万円=440万円です。(※ただし、パソコンの取得費は減価償却扱いとなる可能性があります。)なお、電気代や通信費などに関してマイニング以外でも利用した分がある場合は、家事按分を実施し、マイニングで利用した分のみを経費として計上することが求められます。按分割合は、利用時間や消費電力といった明確な根拠に基づいて決定しなければなりません。
一定以上の所得がある場合、確定申告および納税をしなければならない
ビットコインのマイニングによる所得は、現行の税制では基本的に「雑所得」に区分され、「総合課税」の対象とされます。総合課税とは、さまざまな種類の所得(給与所得・事業所得・不動産所得・譲渡所得・一時所得、雑所得など)を合計し、合計所得金額に応じた税率をかけて税額を算出する方式です。総合課税では、合計所得金額が大きくなるほど税率も上昇する仕組み(累進課税)です。
なお、所得があったとしても確定申告・納税が必要とは限りません。以下に、確定申告をしなければならないケースを示します。
- 個人事業主が副業としてマイニングを実施し、所得を得た場合
- 年収2,000万円を超える給与所得者がマイニングを実施し、所得を得た場合
- 年収2,000万円以下の給与所得者がマイニングを実施し、20万円を超える所得を得た場合
これらに該当する方は、税法に基づいて適切に確定申告・納税を行いましょう。確定申告に関して不明な点がある場合は、一人で悩み続けるのではなく、税務署や税理士などにご相談ください。
金融庁が「2026年度税制改正要望」で分離課税の導入を要望している
2025年8月に金融庁は、「令和8(2026)年度税制改正要望について」において、「分離課税の導入を含めた暗号資産取引等に係る課税の見直しを行うこと」を要望事項として公表しました。
行政機関からの要望であるため、2026年度税制改正において暗号資産による所得が「分離課税」に移行することが期待されます。ただし、2025年11月下旬時点では、分離課税の対象とされる範囲として、「売買」だけではなく、「マイニング」も含まれるのかどうかが不明です。年末までに公表されることが予想される「2026年度税制改正大綱」を閲覧して、詳細の把握に努めましょう。
行政機関だけではなく、暗号資産の業界団体であるJVCEA(一般社団法人日本暗号資産取引業協会)およびJCBA(一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会)も、以前から暗号資産に関する制度・法律の改正を政府に要望してきました。
直近では2025年7月30日に両団体が連名で「2026年度 税制改正に関する要望書」を政府に提出し、分離課税(および一律税率20%)への移行を要望しました。以下に、要望書に記載されている主な主張・要望事項を示します。
- 現行の暗号資産税制は、国民が暗号資産を利用したり売買したりすることを躊躇させる内容となっている
- 「暗号資産の売買は投機に過ぎない」という偏見を改めて、ほかの金融資産(株式など)と同等の取り扱いに移行することが必要
- 20%の申告分離課税を導入し、損失が出た場合は翌年以降3年間、暗号資産による所得金額からの繰越控除を可能とする
- 分離課税の範囲は、暗号資産の種類やウォレットの種類によって区分しない
- 現物取引およびデリバティブ取引の双方を分離課税の対象とする
2026年以降に要望が反映され、法改正が実現するかどうかを注視しましょう。
マイニングをする場合に注意するべきこと
上述したように、マイニングによって取得したビットコインの時価から必要経費を差し引いた金額は「所得」とみなされ、課税対象とされます。
正確な課税所得を計算するためには、「マイニングによってビットコインを取得した時点における市場価格」や「必要経費の算定の根拠」に関する記録を作成しておかなければなりません。領収書は、紛失・汚損しないように、大切に保管してください。
なお、電気代は、家事で使用した分を除外し、マイニングで使用した分だけを計上する必要があります。パソコンの稼働時間や消費電力などをメモしておきましょう。
また、マイニングで取得後にビットコインの価格が暴落した場合は、年内に売却することもご検討ください。年内に売却してしまえば、「マイニングによって得た利益」と「売却による損失」を相殺できます。
価格が高いタイミングでマイニングをしてビットコインを取得し、年が明けてから価格が低いタイミングで売却すると、実際に得る利益よりも納税額のほうが大きくなるケースがあるので注意しましょう。
必ず利益が出るわけではない
ビットコインのマイニングを成功させるためには、多大なマシンパワーが必要です。競争相手が多いため、性能が低い、あるいは、標準的なパソコンではマイニングに成功する可能性は低いでしょう。
マイニングに成功できなければ、機材の購入費分・電気代分の赤字が生じることになります。近年では、個人でマイニングに成功する確率は極めて低いため、ソロマイニングではなく、プールマイニングかクラウドマイニングを選択することをご検討ください。
ビットコインのマイニングをするなら、クリプトマネージで記録を残しておこう
マイニングでビットコインを取得すると、取得した時点における市場時価から必要経費を差し引いた金額が「所得」とみなされ、課税対象となります。確定申告や納税に備えて、マイニングをしたタイミングにおける市場価格を(取得したビットコインを売却する場合は、その時点における価格も)記録しておきましょう。
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