暗号資産(仮想通貨)取引をしている方は必見!トレードで得た所得が「事業所得」とみなされるための条件とは?

更新日:2024/7/19 公開日:2024/7/19

個人が暗号資産(仮想通貨)の取引で得た所得は、原則として「雑所得」に区分されます。ただし、一定の条件を満たせば、「事業所得」とみなされる場合もあることをご存知でしょうか。事業所得に該当する場合、「青色申告特別控除」など、さまざまな税制優遇措置を受けられるため、雑所得よりも税額を抑えることが可能です。

本記事では、暗号資産のトレードを開始する予定の方や、すでに開始している方に向けて、暗号資産で得た所得が事業所得とみなされるための条件を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

暗号資産(仮想通貨)の取引で得た所得は原則として「雑所得」に区分される

個人が暗号資産のトレードで得た所得は、原則として「雑所得」に該当します。

給与所得に対する「給与所得控除」や、事業所得に対する「青色申告特別控除」のような所得控除は、雑所得にはありません。そのため、同じ所得金額の場合、給与所得や事業所得に比べて、雑所得のほうが税額が大きくなることにご留意ください。

 

条件を満たせば「事業所得」とみなされる場合もある

2023年12月25日に国税庁が公表した「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」によると、以下に示す条件をいずれも満たす場合は、暗号資産による所得が「事業所得」とみなされる可能性があります。

 

  • 暗号資産による収入金額が300万円を超えている
  • 帳簿を作成・保存している

 

また、上記とは別に、「暗号資産取引が事業所得の基因となる行為に付随したものである場合」も、事業所得とみなされることを覚えておきましょう

例えば、暗号資産以外の事業を営んでいる事業所得者が、事業用の資産として暗号資産(ビットコイン、イーサリアムなど)を保有しているケースで、事業で使用する物品・サービスの購入手段として暗号資産を利用し、暗号資産を取得した時点よりも利用時の価格が上昇していた場合は、差益分が事業所得になります。こちらに関しては、金額に関する要件は定められていません。

 

事業所得としてみなされるために必要な「帳簿」とは

上述したように、暗号資産による所得が「事業所得」とみなされるためには、「帳簿」を作成・保存する必要があります。白色申告であれば単式簿記、青色申告であれば複式簿記で作成しましょう。

なお、「1取引ごとに記録を作成する必要があるのか」「簡易的な記録で充分なのか」といった点については、国税庁が見解を明確に示していません。後日、税務署からの指摘を受けたくないのであれば、事前に管轄の税務署や暗号資産に関する専門知識を有する税理士に相談したうえで、可能な限り詳細に記録を作成することをおすすめします。

 

雑所得と事業所得の違い

下表に、雑所得と事業所得の主な相違点をまとめました。

 

雑所得

  • 複式簿記で取引記録を作成・保存していても、青色申告特別控除を受けられない
  • 給与所得などとの損益通算および繰越控除が受けられない

事業所得

  • 白色申告の場合は単式簿記、青色申告の場合は複式簿記で帳簿を作成・保存する義務がある
  • 青色申告特別控除を受けられる(開業届の提出および青色申告承認申請をしたうえで、複式簿記で帳簿を作成・保存した場合)
  • 給与所得などとの損益通算が可能(事業所得が赤字の場合、トータルでは税額が減少する)
  • ほかの所得と損益通算をしても損失が残っている場合、翌年以降3年間繰り越せる

 

事業所得の場合、青色申告特別控除など、各種優遇措置の適用を受けることが可能です。そのため、同じ所得金額であれば、雑所得よりも事業所得のほうが税額が少なくなります。

例えば、「暗号資産で500万円の所得を得た事例」について、雑所得の場合と事業所得の場合(65万円分の青色申告特別控除を受ける場合)の税額を比較してみましょう(以下、国税庁公式サイトに掲載されている「所得税の速算表」を使用して計算)。

雑所得の場合は、500万円の課税所得額に対して所得税額が「572,500円」と算出されるのに対し、事業所得の場合(65万円分の青色申告特別控除を受ける場合)は、課税所得額が435万円となり、所得税額は「442,500円」と計算されます。

ここでは、比較しやすくするために「暗号資産による所得額=課税所得額」と単純化していることにご留意ください。そのほかの要素(青色申告特別控除以外の各種控除の有無・金額、給与所得などの有無・金額など)に関しては考慮していません。

なお、「税額を抑えるために青色申告を選択したいけれども、複式簿記の内容が理解できない」とお悩みの方は、税務署(または、税務署から委託された商工会議所・商工会など)が実施している記帳指導を受けることもご検討ください。

 

所得税基本通達の内容もチェックしよう

「事業所得に該当するか否か」を判断する際には、上述した「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」で示されている内容のほかに、「所得税基本通達」の内容もチェックしなければなりません。

国税庁は、所得税基本通達において、「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する」という見解を示していることを認識しておきましょう。なお、「社会通念上事業と称するに至る程度」であるかどうかは、以下の要素を踏まえ、総合的に判断されます。

 

  • 営利性・有償性の有無
  • 反復継続性の有無
  • 自己の危険と計算における企画遂行性の有無
  • 取引に費した精神的・肉体的労力の有無・程度
  • 人的・物的設備の有無
  • 職業・経験・社会的地位・生活状況など

 

暗号資産による収入が300万円を超えていても、態様によっては、「事業」に該当しない可能性があることにご留意ください。例えば、「1回限りのトレード」の場合、反復継続性がないため、事業とみなされないかもしれません。不安がある場合は、税務署や税理士に相談しましょう。

 

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監修者情報
金子 賢司 HP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

【保有資格】CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

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