法人化して暗号資産(仮想通貨)取引するメリットとは?注意点も詳しく解説!
暗号資産(仮想通貨)で大きな利益を得ている場合は、法人化も選択肢として検討しましょう。法人税のほうが所得税よりも税率の上限が低く、法人の場合は赤字を最大10年繰り越せるほか、経費として計上できる支出項目の幅が個人よりも広いというメリットがあります。
本記事では、法人化して暗号資産取引を実施するメリットや注意点を詳しく解説します。法人化する際の流れも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
法人化して暗号資産(仮想通貨)取引を実施するメリット
法人化して暗号資産取引を実施すると、以下に示すメリットを享受できます。
- 所得税よりも法人税のほうが税率の上限が低い
- 赤字を最大10年繰り越せる
- 経費として計上可能な支出項目の幅が広い
それぞれについて詳しく説明します。
所得税よりも法人税のほうが税率の上限が低い
所得税よりも法人税のほうが税率の上限が低いため、暗号資産で一定以上の利益を得ている場合、法人化することで税額を抑えられる場合があります。
具体的には、課税所得が4,000万円超の場合、所得税の税率は上限の45%です。他方、普通法人の場合、法人税率は原則として23.2%です。
赤字を最大10年繰り越せる
個人事業主でも、青色申告する場合は赤字を最大3年繰り越すことが可能です。
しかし、法人の場合、青色申告書を提出した事業年度に生じた赤字であれば、最大10年繰り越せます。10年以内に、利益が多く出る事業年度がある場合があります。その際に、過去の赤字額を控除することで税額を圧縮できます。
経費として計上可能な支出項目の幅が広い
法人のメリットとして、個人事業主よりも経費として計上できる支出項目の幅が広いことも挙げられます。
例えば、社宅規程を策定したうえで、一定額の賃貸料相当額を役員が負担するなど、所定の要件を満たせば、会社負担分を経費として計上できる場合があります。また、出張の際、実費(交通費や宿泊費)とは別に、会社が役員に日当(出張手当)を支給できます。会社側は、業務上必要かつ通常必要と認められる範囲の日当を経費として計上でき、受け取った役員・従業員側では非課税となる場合があります。
暗号資産取引のために法人化する際の注意点
暗号資産取引のために法人化する場合は、以下の点に注意しましょう。
- 法人の設立や維持にコストがかかる
- 期末時点での含み益が課税対象とされる
- 口座開設の審査が厳しい傾向が見受けられる
それぞれについて詳しく説明します。
法人の設立や維持にコストがかかる
法人を設立する際には、設立登記の費用などがかかります。株式会社の場合は、これに定款認証手数料が加わります。
設立後は、赤字でも法人住民税が毎年かかります。また、個人事業主に比べて会計・税務処理が複雑で、税理士に依頼する場合は税理士費用がかかる点も認識しておきましょう。
期末時点での含み益が課税対象とされる
法人が、活発な市場が存在する暗号資産を期末時点で保有している場合、原則として含み益が課税対象とされます。暗号資産を保有しているだけでも、期末における市場価格が取得時の価格よりも高い場合は税金が発生することに注意しましょう。
ただし、法令上の要件を満たす自己発行暗号資産は、含み益に課税されません。同じく要件を満たす譲渡制限付暗号資産についても、原価法を選んでいる場合は課税されません。
口座開設の審査が厳しい傾向が見受けられる
金融機関や暗号資産取引所に法人口座を開設する際の審査は、個人に比べて厳しい傾向が見受けられます。
また、提出しなければならない書類が多く、開設の手続きが完了するまでに時間がかかるケースもあるため、計画的に準備を進めましょう。
法人化の流れ
法人にはさまざまな種類がありますが、現在の日本では法人化する際に「株式会社」と「合同会社」のいずれかを選択するケースが多く見受けられます。以下、株式会社および合同会社の設立の流れを示したうえで、個人保有の暗号資産を法人に移す場合の課税関係も説明します。
株式会社を設立する場合の流れ
株式会社を設立する場合は、以下の流れで手続きを進めます。
- 定款の作成および公証人による認証
- 出資の履行
- 機関の設置(設立時取締役の選任など)
- 設立登記
株式会社は、合同会社よりも認知度が高い会社形態であり、株式を発行して投資家から資金を調達できます。ただし、設立するための手続きが複雑で、定款認証手数料がかかるほか、登記する際の登録免許税が合同会社よりも割高です。
合同会社を設立する場合の流れ
合同会社を設立する場合は、以下の流れで手続きを進めます。
- 定款の作成(公証人による認証は不要)
- 出資の履行
- 設立登記
手続きが簡素で、少ない費用で設立できる点が合同会社のメリットです。ただし、株式会社に比べると認知度が低く、株式発行による資金調達も実施できません。
暗号資産を個人から法人に移す際の課税関係
個人保有の暗号資産を法人に現物出資した場合、個人側に所得税が課されます。収入金額は、出資した暗号資産の時価ではなく、取得した株式などの時価とされます。
なお、出資を受けた法人側は、課税対象とされません。 税金とは別に、株式会社への現物出資は、価額が500万円を超えると検査役の調査などが必要になります。
暗号資産に分離課税が導入されると法人化による節税効果がなくなる?
2025年12月に閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」において「暗号資産で得た所得に対する分離課税制度を導入する方針」などが示されていましたが、その後、大綱の内容を実現するための法改正の作業が進められ、2026年3月31日に「所得税法等の一部を改正する法律」が成立しました。
また、2026年7月15日には「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」も成立し、7月23日に公布されました。無登録業に対する罰則の引上げなど一部の規定は2026年8月12日に施行されていますが、分離課税の前提となる規定は2026年8月時点で施行されていません。
暗号資産関連の規定は「公布日から起算して1年を超えない範囲で政令で定める日」に施行され、分離課税は「施行日が属する年の翌年1月1日以後の譲渡」から適用されます。例えば、2026年に施行された場合は2027年1月1日以後の譲渡から、2027年に施行された場合は2028年1月1日以後の譲渡から適用されます。
近い将来、政令が制定されたり、通達やQ&Aなどが公表されたりする可能性があるため、定期的に関係省庁(金融庁・国税庁など)の公式Webサイトをチェックしましょう。
分離課税制度導入後は、個人が国内業者を通じて特定暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録された暗号資産)を譲渡するケースに関しては、一律20%の税率(所得税率15%および住民税率5%)とされるため、法人化して取引するケースよりも税制面で有利になる場合があります。
ただし、「海外取引所やDEXでの売買・交換」「特定暗号資産以外の暗号資産の売買・交換」「マイニング」「ステーキング」などは、分離課税の適用対象外です。これらによる利益が多ければ、分離課税制度導入後でも、法人化するほうが節税できる可能性があります。
法人化だけではなく、「クリプトマネージ」による損益計算の自動化も検討を!
暗号資産の売買などを実施したら、税法に基づいて適正に確定申告・納税しなければなりません。そのためには、日々、取引の記録を作成し、取引記録を踏まえて正確に損益を計算する必要があります。手作業でも損益計算は可能ですが、多大な時間・労力がかかり、ミスも発生しやすいため、ITツールで自動化しましょう。
おすすめの損益計算自動化ツールは、株式会社イー・ラーニング研究所の「クリプトマネージ」です。暗号資産の専門知識を有する税理士が開発に携わっており、最新の税法に合わせて随時計算ロジックが自動改訂される仕組みなので、ぜひ活用をご検討ください。

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