暗号資産(仮想通貨)取引で損失が出ている方は必見!確定申告が必要かどうかを詳しく解説

更新日:2025/11/26 公開日:2024/1/30

暗号資産(仮想通貨)のトレードでは、必ず利益が出るわけではありません。損失が生じる場合もあることを認識し、余裕資金の範囲内で売買を行いましょう。

ところで、「1年間の損益を計算した結果、トータルで損失が発生している場合は、確定申告が必要なのだろうか」とお悩みの方がいるかもしれません。

そこで、本記事では、主に暗号資産投資の初心者に向けて、トータルで損失が出ている場合には原則として確定申告が不要であることを詳しく解説します。記録を作成することの重要性や、損益を計算するための方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

暗号資産(仮想通貨)の取引で損失が出ている場合、原則として確定申告は不要

1年間の暗号資産の取引の記録を精査し、トータルで「損失」が出ていることが判明した場合は、原則として確定申告が不要です。

なお、確定申告が必要かどうかを判定する際には、利益から必要経費(暗号資産の取引に要した電気代、通信費など)を差し引いた「所得」の金額で考える必要があります。例えば、以下に示すような事例を想定してみましょう。

  • 5月10日に「1BTC=200万円」のレートで0.1BTC(20万円相当)を購入
  • 11月20日に「1BTC=210万円」のレートで0.1BTC(21万円相当)を売却
  • 必要経費(電気代、通信費、書籍代、パソコン購入費用など)の合計額は2万円

このケースでは、利益は21万円-20万円=1万円となります。しかし、そこから必要経費の2万円を差し引くと1万円の赤字(損失)となり、暗号資産の取引で所得が発生していないことになるため、当然、申告・納税をする必要はありません

ちなみに、暗号資産の所得を計算する際の必要経費は、「家事(プライベート)で使用した分」を除外し、「暗号資産の取引に使用した分」のみを計上しなければならないことにご留意ください。

暗号資産以外の雑所得がある方は、損益通算をすることも検討を

上述したように、トータルで赤字(損失)であれば、原則として確定申告をする必要はありませんが、「暗号資産以外の雑所得」がある場合は、暗号資産による損失と「相殺(損益通算)」することも検討しましょう。

暗号資産による所得は基本的に「雑所得」に区分され、ほかの雑所得(「アフィリエイト広告」による所得など)との損益通算が可能です。例えば、暗号資産の取引で1万円の赤字(損失)が出ていて、アフィリエイト広告で25万円の所得を得ている場合、損益通算を行えば雑所得が「24万円」に圧縮され、節税につながります。

税務調査や翌年以降の取引に備えて、記録を作成しておこう

ある年に赤字であっても、別の年に大きな所得を得た場合、税務調査を受けて、赤字の年も含めて複数年の取引履歴の提示を求められる可能性があります。そのため、赤字であっても、取引の記録を作成・保管しておきましょう

税務調査を受けなかったとしても、翌年以降の取引に備えるために、記録を作成しておくことは重要です。例えば、「2022年に暗号資産を購入し、2025年に売却した」という取引の場合、2025年に売却した価格だけ把握していても、2022年に購入した価格の記録がなければ、損益を計算できません。正確に損益を計算するために、赤字になった年も取引に関する記録を作成しておくべきです。

領収書の保存も忘れずに!

「暗号資産トレードの利益よりも、必要経費が多いため、所得がゼロになった」という状況で、税務調査を受けることがあるかもしれません。

「本当に所得がゼロなのか」をチェックするために、税務署の担当者から「取引履歴」に加えて、「必要経費の領収書(および、暗号資産取引で使用した割合を算定した根拠)」の提示も求められる可能性があります。紛失したり、汚れたりしないように、領収書を厳重に保管しておきましょう。

暗号資産取引の損益を計算する方法

暗号資産取引の損益を計算(評価)するうえで必要になる「平均取得単価」を求める方法は、以下の2種類から選択することが可能です。なお、一度選択すると、原則として3年間は別の方法に変更できなくなるので注意しましょう。

  • 総平均法
  • 移動平均法

それぞれについて詳しく説明します(いずれの方法でも、損益は「(売却価格−平均取得単価)×売却枚数」で計算)。

総平均法

総平均法とは、一定期間内に購入した暗号資産の平均取得価額をまとめて計算する手法です。簡単に計算することが可能であり、一定期間内の暗号資産の「購入代金」を「購入数量」で割るだけで平均単価を算出できます。

例えば、以下のケースを想定します(これ以外には売買していないと仮定)。

  • 4月10日:1BTCを400万円で購入
  • 8月15日:1BTCを500万円で購入
  • 9月20日:1BTCを600万円で購入

この場合、ビットコインの年間購入数量は3BTC、合計購入金額は1,500万円です。そのため、1BTCの平均取得価額は、1,500万円÷3=500万円と算出されます。

ただし、一定期間の取引が終了しなければ、平均取得単価が判明しないため、期中において「現在どのくらいの利益があるのか」を把握しにくいことにご留意ください。

移動平均法

移動平均法とは、暗号資産を購入する都度、平均取得価額を計算しなおす手法です。期中のどのタイミングにおいても平均取得単価が明確になり、現在の損益の状況を高い精度で把握できます。

以下のケースを想定します(これ以外には売買していないと仮定)。

  • 4月10日:1BTCを400万円で購入
  • 8月15日:1BTCを500万円で購入
  • 9月20日:1BTCを600万円で購入

この場合、4月10日時点の平均取得価額は400万円、8月15日時点の平均取得価額は900万円÷2=450万円、9月20日時点の平均取得価額は1,500万円÷3=500万円と算出されます。

取引回数が多い場合や、複数の銘柄のトレードをしている場合、移動平均法では計算の負担が大きくなることを認識しておきましょう。

なお、国税庁公式サイトの「暗号資産等に関する税務上の取扱いおよび計算書について」のページで、「計算用のExcelファイル」をダウンロードできます(各セルに数値を入力するだけで、自動的に計算が可能)。手計算では多大な時間・労力を要し、ミスも発生しやすいため、ぜひご活用ください。

届出をしなかった場合、「総平均法を選択した」とみなされる

個人の場合、税務署に届出をしない限り、「総平均法を選択した」とみなされます。移動平均法を選択したい方は、暗号資産を取得した日の属する年分の確定申告の期限(通常は3月15日)までに、税務署に「所得税の(有価証券・暗号資産)の評価方法の届出書」を提出してください。

総平均法と移動平均法には、それぞれメリット・デメリットがあります。計算する時間・労力を削減したいのであれば「総平均法」を、常に正確な平均取得単価や損益を把握しておきたいのであれば「移動平均法」をお選びください。なお、上述したように、一度選択した評価方法は3年間変更できないので、慎重に検討しましょう。

1月1日以後に売却するよりも12月31日以前に売却するほうが節税につながるケースがある

例えば、ビットコインで100万円の所得が発生していて、イーサリアムで100万円の含み損が出ている場合、年内にイーサリアムを売却して損失を確定させると、暗号資産全体での所得はゼロになります。

また、ビットコインで100万円の損失が出ていて、イーサリアムで100万円の含み益が出ている場合、年内にイーサリアムを売却して利益を確定させるほうが良いでしょう(ビットコインの損失100万円と相殺され、トータルでは所得がゼロになるため)。

翌年にイーサリアムを売却すると、100万円の所得を得たことになり、税金が課されます。暗号資産の損失は年をまたいで繰り越せないため、ビットコインの損失と相殺できません。

「2025年12月31日時点において、ビットコインで100万円の損失が出ていて、イーサリアムで100万円の含み益が出ている」という状況で、イーサリアムを12月31日に売却した場合と翌年1月1日に売却した場合について、所得金額を試算した結果を下表にまとめました。

2025年12月31日に売却した場合ビットコインの損失100万円とイーサリアムの利益100万円が相殺され、2025年の暗号資産による所得は0円
2026年1月1日に売却した場合2025年の暗号資産による所得は0円で、2026年の暗号資産による所得は100万円

長期的に保有し続けるトレードスタイルではなく、短期で売買するのであれば、年内に売却するほうが税金の負担を軽減できます。

確定申告および納税の義務を履行しなかった場合のペナルティ

確定申告および納税する義務があるにもかかわらず、適正に申告しなかった場合は、無申告加算税・過少申告加算税・重加算税などのペナルティ(追徴課税)を受ける可能性があります。それぞれの加算税が適用される条件や税率などの詳細に関しては、財務省や国税庁の公式サイトでご確認のうえ、不明な点がある場合は税務署や税理士にご相談ください。

例えば、税務調査を受けるまで申告しなかった場合の無申告加算税の税率は、50万円以下の部分は15%、50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%とされています。なお、税務署からの通知が届く前に自主的に期限後申告した場合、無申告加算税の税率は5%に軽減され、過少申告加算税は課されません。

「本来納める税額が330万円で、確定申告しないまま税務調査を受けた」というケースに関して、無申告加算税がどのくらい課されるのかをシミュレーションします。この場合、以下の1.から3.までの数値を足し合わせることによって、無申告加算税の金額を計算可能です。

  1. 本来納付する税額が50万円以下の部分:50万円×0.15=75,000円
  2. 本来納付する税額が50万円超300万円以下の部分:250万円×0.2=50万円
  3. 本来納付する税額が300万円超の部分:30万円×0.3=9万円

上記数値を合計すると、無申告加算税の金額は「665,000円」と算出されます。

ここ数年、国税庁や税務署は、AI(人工知能)を活用して申告漏れの取り締まりを強化しています。2024年11月に国税庁が公表した「令和5事務年度 所得税および消費税調査等の状況」によると、暗号資産取引を実施している個人に対する調査で判明した申告漏れ所得金額は1件あたり2,356万円、追徴税額の平均値は662万円です。

本来の税額よりも多い金額を納税しなければならない事態に陥らないように、日頃から取引に関する記録を作成したうえで、総平均法または移動平均法で損益を計算し、期日までに確定申告を実施してください。

「クリプトマネージ」で、暗号資産トレードの損益計算を自動化しよう

暗号資産の取引をするのであれば、購入価格や売却価格に関する記録を作成し、「損益計算」を行わなければなりません。手作業で実施することも可能ですが、多大な時間・労力を要します。また、計算ミスや転記ミスも発生しやすいので、ITツールで自動化するほうが良いでしょう。

おすすめのITツールは、株式会社イー・ラーニング研究所の「クリプトマネージ」です。クリプトマネージの開発には、暗号資産の専門知識を持つ税理士が携わっており、最新の税法に合わせて随時計算ロジックが改訂されるので安心してご利用ください。

なお、クリプトマネージは、総平均法と移動平均法の両方に対応しています。それぞれの方法で試算したうえで、ご自身に適した方法を選ぶと良いでしょう。

対応銘柄は約9,400種類で、国内・海外の主要取引所の取引データに対応しています。加えて、手元のウォレットで保管している暗号資産のデータにも手動で対応することが可能です。

売買のデータはもちろん、マイニングやハードフォーク、エアドロップ、レンディング、DeFi、ICO投資などのデータにも対応しているので、ぜひご活用ください。

今なら完全無料キャンペーンを実施しており、基本使用料も追加料金もかかりません。1分で利用登録を完了できるので、この機会にクリプトマネージで暗号資産の管理を開始してはいかがでしょうか。

監修者情報
水野 崇(CFP®︎ / 1級FP技能士) HP
水野総合FP事務所代表。キャリア20年超の現役トレーダー。相談、執筆・記事監修、講師、取材協力などマルチに活躍するファイナンシャルプランナー。

2003年、30歳で子どもの誕生を機に早期退職し、株式専業トレーダーに転身。これまでに年間最高売買代金350億円超、月間最高利益2414万円を達成。投資の収益で都内新築不動産を現金一括購入。

現在は独立系FPとして年間100名以上の個別相談に対応、月20本以上の執筆・監修に携わる。大学や事業法人などで講師を務め年80回登壇。学校法人専門学校では非常勤講師として「投資の授業」を毎週行う。

【保有資格】CFP®︎認定者|1級ファイナンシャル・プランニング技能士|宅地建物取引士|日本証券アナリスト協会検定会員補|証券外務員1種 他
【メディア掲載実績】毎日新聞|朝日新聞|中日新聞|東京新聞|朝日中高生新聞|物流産業新聞社|Yahoo!ニュース|女性自身|プレジデントオンライン|日本FP協会 他多数
水野総合FP事務所代表。キャリア20年超の現役トレーダー。相談、執筆・記事監修、講師、取材協力などマルチに活躍するファイナンシャルプランナー。

2003年、30歳で子どもの誕生を機に早期退職し、株式専業トレーダーに転身。これまでに年間最高売買代金350億円超、月間最高利益2414万円を達成。投資の収益で都内新築不動産を現金一括購入。

現在は独立系FPとして年間100名以上の個別相談に対応、月20本以上の執筆・監修に携わる。大学や事業法人などで講師を務め年80回登壇。学校法人専門学校では非常勤講師として「投資の授業」を毎週行う。

【保有資格】CFP®︎認定者|1級ファイナンシャル・プランニング技能士|宅地建物取引士|日本証券アナリスト協会検定会員補|証券外務員1種 他
【メディア掲載実績】毎日新聞|朝日新聞|中日新聞|東京新聞|朝日中高生新聞|物流産業新聞社|Yahoo!ニュース|女性自身|プレジデントオンライン|日本FP協会 他多数

1分で簡単登録!
今なら完全無料で使い放題!
COMPANY
運営会社
会社名 株式会社イー・ラーニング研究所
代表取締役 吉田 智雄
本社 〒564-0063 
大阪府吹田市江坂町1丁目23番38号 F&Mビル6F