ビットコインは10年後どうなっている?将来性やリスクなどを詳しく解説!
ビットコイン投資を検討している方は、「10年後に、どのくらいの価格になっているのだろう」と気になっているかもしれません。
歴史を振り返ると、ビットコイン価格は何度も暴落を経験したものの、暴落から数年経過すると再び価格が上昇し、過去の高値を更新してきました。
本記事では、ビットコインが誕生してから現在に至るまでの歴史・価格推移を振り返ったうえで、10年後に価格がどうなっているのかを予想します。
ビットコイン価格に影響を及ぼす要因や、価格が10年後に上昇している可能性が高いことを解説したうえで、リスク・懸念要素、10年後に向けてビットコイン投資を検討すべき理由、投資する際に心がけたいこと、確定申告・納税の義務を履行することの重要性および損益計算の方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ビットコインの誕生から現在に至るまでの歴史
ビットコインは、「サトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)」と称する人物(またはグループ)によって執筆された論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」に基づいて開発された世界初の暗号資産です。なお、現在もサトシ・ナカモトの素性は明らかにされていません。
2009年1月にジェネシスブロック(最初の1ブロック)が生成されてから、しばらくの間は、ごく一部の愛好家のみがマイニングをする状況でした。
その後、2010年7月にビットコイン取引所「マウントゴックス(Mt. Gox)」がサービスを開始し、取引人口が少しずつ増加していきましたが、2011年6月にマウントゴックスのシステムがクラッキング被害に遭い、しばらく低調な時期が続くことになります。
しかし、時間の経過により取引する人口も増加し、2017年後半から2018年初頭にかけては「暗号資産バブル」と表現される価格高騰が起こります(2017年8月にはハードフォークによって「ビットコインキャッシュ」が誕生)。
ところが、2018年に暗号資産バブルが崩壊し、その後は、低調な時期がしばらく続きました。状況に変化の兆しが見られたのは、コロナ禍の時期です。2020年あたりから暗号資産業界が活況を呈し、2021年に入ると過去最高値を更新します。なお、2021年9月には、中米のエルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用しました。
2022年は、大手暗号資産取引所「FTX Trading」の破綻といった悪材料があったものの、2023年になると持ち直します。
2024年にアメリカ大統領選挙が実施され、ドナルド・トランプ氏が勝利しました。そして、2025年1月20日に正式にアメリカ合衆国大統領に就任し、第2次トランプ政権が発足しました。
トランプ大統領は以前から暗号資産に好意的な言動を繰り返しており、2025年3月には、米国政府が法執行活動などを通じて取得したビットコインを備蓄する「戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve)」を設置する大統領令に署名しました。
トランプ政権による暗号資産に前向きな政策への期待などを背景に、2025年にはビットコイン価格が過去最高値を更新する局面もありました。
2026年2月28日、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃(アメリカ政府は「Operation Epic Fury」、イスラエル政府は「Operation Roaring Lion」と呼称)で、最高指導者のアリー・ハーメネイー師など、イランの政権幹部が多数殺害されました(イラン側は、ペルシャ湾岸各地の米軍基地などを標的としてミサイルやドローンで反撃を実施)。
この戦闘行為をきっかけに市場全体がリスクオフ(リスクを回避する心理)の状態になり、ビットコインなどの暗号資産から資金が流出しました。その後、停戦に向けた協議が進められるなかで市場心理が改善し、ビットコイン価格が持ち直す局面もみられました。ただし、2026年9月時点でも完全な停戦には至っていません。
また、2026年に入ってからは、生成AI(人工知能)の普及を背景に、半導体・GPU関連企業やAIデータセンターへの投資が活発化しています。ビットコインのマイニング事業者のなかにも、保有する電力設備やデータセンターをAI・HPC(高性能計算)向けに活用する動きがみられるため、今後の動向を注視しましょう。
10年後、ビットコインの価格はどうなるのか?
ビットコインの歴史を振り返ってきましたが、これまでに何度も高騰・暴落を繰り返しつつも、長期チャートを見ると、価格は上昇傾向で推移してきました。
以下、これまでの価格推移をまとめたうえで、10年後のビットコイン価格を予想します。
これまでの価格推移
長期チャートを眺めると、2017年の初頭までは、1BTCの価値は1,000米ドルに満たない水準でした。しかし、2017年後半から2018年初頭にかけて「暗号資産バブル」が発生し、2017年12月には一時1BTC=2万米ドル近くまで上昇しました。
その後、バブルが崩壊し、2019年末までは3,000米ドル台半ばから1万米ドル台の価格帯を上下していましたが、2020年末から2021年にかけて、再度、「暗号資産バブル」と表現される価格高騰が起こり、2021年11月には約6万9,000米ドルを記録し当時の最高値を更新しました。
2022年に入ると下降トレンドに移行し、2022年12月には1BTC=1万6,500米ドル台にまで下落しましたが、2023年に入ると上昇トレンドに転換し、2024年3月には一時7万3,800米ドル台の過去最高値を記録しました。
2024年11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が当選すると、暗号資産に前向きな政策への期待などを背景に上昇ペースを速め、2024年12月には初めて1BTC=10万米ドルを突破しました。
その後、1BTC=7万米ドル台に下落したものの、2025年10月上旬に一時的に12万米ドルを突破し、2025年10月下旬時点では10万米ドル台の水準で推移し、2025年12月下旬時点では8万米ドル台後半でした。
2026年に入ってからは5万米ドル台後半から9万米ドル台後半の範囲で価格が上下し、2026年9月下旬時点では8万4,000米ドル前後で推移しています。
こうしたなか、イラン情勢などの地政学的リスクや金融政策、投資家のリスク選好など、さまざまな要因を背景に価格が大きく変動しています。ビットコインも2025年の過去最高値を更新できない状態が続いていますが、今後も地政学情勢や金融政策などの動向をこまめにチェックしましょう。
10年後のビットコイン価格を予想
10年後のビットコイン価格を正確に予測できる人間は存在しません。しかし、これまでの価格推移を踏まえると、長期的には右肩上がりの傾向があり、10年後の価格は上昇している可能性が高いでしょう。
投資会社のバーンスタイン(Bernstein)は、2023年1月16日に発表したレポートにおいて、「今後10年間、暗号資産アプリケーションのイノベーションは黄金時代を迎える」と予測しています。
投資銀行のJ.P. モルガン(J.P. Morgan)は、2025年11月の金価格との比較分析において、ビットコイン価格は今後6~12か月で約17万米ドルに達する余地があると分析しました。5年後・10年後などの長期的な価格推移の予想ではありませんが、具体的な数値が挙げられているので、参考にしてはいかがでしょうか。
2030年のビットコイン価格に関して、スタンダードチャータード(Standard Chartered)銀行は50万米ドルと予想しています。また、資産運用会社のARK Investは2025年4月に公表した実験的なモデルで、2030年のビットコイン価格を50万~240万米ドルと試算しています。
なお、スタンダードチャータード銀行の場合、「デジタルゴールドとしての代替性」を軸に分析した結果です。また、ARK Investの場合、複数のユースケースについて、潜在的な市場規模(TAM)や普及率などを設定したモデルに基づく試算です。
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ビットコイン価格に影響を及ぼす要因
将来のビットコイン価格を正確に予測することは不可能ですが、以下に示す要因によって価格が変動するとされています。ビットコインに投資する場合は、これらの要素をチェックしましょう。
- 実質金利
- 「有事の安全資産(デジタルゴールド)」とみなす投資家の数
- ビットコイン現物ETFへの資金流入/流出
- 市場がリスクオンの状態かリスクオフの状態か
「この条件なら、必ずこう価格が動く」と決まっているわけではなく、あくまでも判断材料のひとつです。上記以外の要因で価格が変動することもあります。
それぞれについて詳しく説明します。
実質金利
単にビットコインを保有しているだけでは、金(ゴールド)と同様に利息がつきません。そのため、実質金利が高い状況では、利回りを得られる債券などの金融商品の相対的な魅力が高まり、ビットコイン価格の重しとなることがあります。逆に、実質金利が低い状況では、ビットコインなどのリスク資産に資金が流入しやすくなる場合があります。
なお、実質金利とは、名目金利(表面上の金利)からインフレ率(物価上昇率)を差し引いた数値です。両者の差は物価変動率によって変化します。
「有事の安全資産(デジタルゴールド)」とみなす投資家の数
戦争・疫病・自然災害などの有事が発生すると、安全資産を購入する投資家が増加します。投資家のなかには、「金(ゴールド)などと同様に、特定国家の混乱と無関係な安全資産であり、デジタルゴールドとして保有する価値がある」と考える方も存在します。今後、このような考え方の投資家の数が増えれば、ビットコイン価格が上昇しやすくなるでしょう。
とはいえ、ビットコインは価格変動が大きく、市場がリスクオフとなる局面ではリスク資産として売られることもあります。金(ゴールド)と同様の安全資産として常に値動きするわけではないことに留意しましょう。
ビットコイン現物ETFへの資金流入/流出
アメリカで2024年1月にビットコイン現物ETFが承認されてから、機関投資家の投資手段として利用されており、ビットコインの現物価格にも影響を及ぼしています。
ビットコイン現物ETFとは、現物のビットコインを裏付け資産として保有し、その値動きがETF価格に反映される金融商品です。投資家は、自分自身で現物のビットコインを保有しなくても、ETFを購入することで間接的にビットコインに投資できます。
上場されたETFへの資金のフロー(流入/流出)を観察すると、市場心理を読み解くのに役立ちます。価格が下落・横ばいの状況でETFへの資金流入が続いている場合、機関投資家などの需要が継続していることを示す手がかりになります。継続的に(週単位・月単位で)資金が流入している場合、機関投資家などから一定の需要があることを示す指標として捉えることができます。
価格が上昇しているにもかかわらず、流入が鈍化・流出に転じた場合は、需給の変化を示す材料のひとつとなります。
市場がリスクオンの状態かリスクオフの状態か
マーケット全体が「リスクをとりにいく」という心理・姿勢に切り替わる(リスクオンの状態になる)と、安全資産からリスク資産に資金が移動しやすくなります。反対に、「リスクを回避する」という心理・姿勢に切り替わる(リスクオフの状態になる)と、リスク資産から安全資産に資金が移動しやすくなります。
ただし、ビットコインは安全資産として一貫した値動きをするわけではなく、投資家のリスク回避姿勢が強まる局面では価格が下落することもあります。そのため、リスクオン・リスクオフの変化がビットコイン価格に影響を及ぼすことを認識しておきましょう。
なお、市場心理を見極めるための代表的な指標は、「VIX(Volatility Index)」です。VIXとは、S&P500指数オプションの価格をもとに算出される、今後30日程度の予想変動率を示す指数で、「恐怖指数」とも呼ばれます。VIXの数値が高いほど、市場参加者が大きな価格変動を織り込んでいることを示し、一般に市場の警戒感が高まっていると捉えられます。
上記以外の要因
上述した4つの要因のほかに、半減期もビットコイン価格に影響を及ぼします。半減期とは、マイニング報酬が半減するタイミングです(おおよそ4年に1度)。半減期が到来すると、ビットコインの市場への新規供給量が減るため、価格に影響を与える可能性があります。
ビットコインの誕生から現在(2026年9月時点)に至るまでの間に、合計で4回の半減期が到来しました。次の半減期は2028年前半に到来する見込みです(ブロック生成速度によって変動)。下表に、これまでに到来した4回の半減期、および、次に到来する予定の5回目の半減期の概要をまとめました。
回数 | 時期 | 半減期前後のマイニング報酬の変化 |
| 1回目 | 2012年11月 | 50BTC→25BTC |
| 2回目 | 2016年7月 | 25BTC→12.5BTC |
| 3回目 | 2020年5月 | 12.5BTC→6.25BTC |
| 4回目 | 2024年4月 | 6.25BTC→3.125BTC |
| 5回目 | 2028年前半(見込み) | 3.125BTC→1.5625BTC |
また、特定国家における法規制も、ビットコイン価格に影響を及ぼす要因です。暗号資産に関する規制が強化されると、市場参加者の売買行動に影響し、価格下落の要因となる可能性があります。逆に、規制が緩和されたり、国家や自治体がビットコインを取得・利用する方針を示したりした場合は、価格が上昇する可能性があります。
ビットコイン価格が10年後に上昇している可能性が高い理由
過去の価格推移(長期チャートの形状)だけではなく、以下に示す理由によっても、10年後のビットコイン価格は現在よりも上昇している可能性が高いでしょう。
- 民間でビットコインを支払手段として活用する事例が広がっている
- 準備資産としてビットコインを保有・検討する国や地域がみられる
- ビットコイン現物ETFが上場された
- 発行総量があらかじめ決まっている
それぞれについて詳しく説明します。
民間でビットコインを支払手段として活用する事例が広がっている
近年、さまざまな店舗でショッピングの支払手段として「ビットコイン」を選択することが可能になりました。
日本の場合、「ビックカメラ」が、ビットコインでショッピングを行える店舗の代表例です。
個人間で物品を売買するためのプラットフォーム(フリマアプリ)の「メルカリ」でも、ビットコインを用いた決済サービスが導入されており、2025年9月上旬時点では累計で約120万件(約63万人)の利用があります。
ただし、現時点ではビットコインの入出庫には非対応で、外部のウォレットから送金したり、プラットフォーム内のビットコイン残高を外部のウォレットに送金したりすることが不可能です。あくまでも、メルカリのプラットフォーム内で売買・保管・利用する仕組みです。
そのほか、暗号資産取引所「Coincheck」を運営するコインチェック株式会社が株式会社イーネットワークシステムズと提携して展開している「Coincheckでんき」というサービスでは、ビットコインで電気料金の決済が可能です(対応エリアは、沖縄や離島を除く日本全国)。
このように、投機目的による売買だけではなく、決済手段として実際に利用される事例もみられます。こうした利用の広がりは、ビットコインの需要に影響を与える要因のひとつです。
準備資産としてビットコインを保有・検討する国や地域がみられる
近年、さまざまな国家や地方政府レベルで、ビットコインの保有や準備金に関する制度整備・議論が進んでいます。
例えば、アメリカでは2025年3月、連邦政府が「戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve)」を設置しました。刑事・民事の没収手続きなどを通じて政府が取得したビットコインを準備金に組み入れ、原則として売却しない仕組みです。これまで、米国政府が保有するビットコインが売却されることもありました。準備金に組み入れられたビットコインが原則として売却されなくなることで、市場への売却圧力に影響を与える可能性があります。
州レベルでも制度整備が進んでおり、ニューハンプシャー州、テキサス州、アリゾナ州では2025年に暗号資産の州保有・準備金に関する法律が成立しました。
アメリカ以外の国家でも、ビットコインを政府が保有する政策が実行されたり、議論されたりする事例が散見されます。
例えば、エルサルバドルでは、政府がビットコインを保有しています。また、パキスタンでは2025年5月、政府主導の戦略的ビットコイン準備金を設ける方針が発表されました。こうした政府・自治体による保有の広がりは、ビットコインの需給に影響を与える可能性があります。
ビットコイン現物ETFが上場された
米国証券取引委員会(SEC)は、2024年1月10日に「ビットコイン現物ETF」の上場・取引を承認し、翌11日から取引が開始されました。
ビットコイン現物ETFを通じた資金流入は、ビットコインの需給や現物価格に影響する要因のひとつです。
2026年9月時点では、日本国内でビットコイン現物ETFの組成・販売は認められていません。ただし、金融庁は暗号資産ETFの国内組成を可能とするための制度整備を進めており、令和8年度税制改正では、投信法施行令の改正を前提に暗号資産ETF等を分離課税の対象とする方針が示されています。今後の制度改正については、金融庁の公式Webサイトなどで確認しましょう。
発行総量があらかじめ決まっている
法定通貨と異なり、ビットコインの発行枚数には「2,100万枚」という上限があります。
これは、マイニング報酬が当初は50BTCに設定されており、21万ブロックごとに半減するようにプログラムされているためです(50BTC×21万+25BTC×21万+12.5BTC×21万+6.25BTC×21万+3.125BTC×21万+…≒2,100万BTC)。
これから発行されるビットコインの量が減ることで、希少性が意識されやすくなります。こうした供給面の特徴は、長期的な価格を支える要因のひとつとなるため、10年後のビットコイン価格は現在よりも上昇している可能性が高いでしょう。
近い将来、日本で分離課税が導入される
近い将来、日本において、暗号資産で得た所得に対して分離課税が導入される予定です。税負担が軽減される場合があるため、投資環境の変化を通じてビットコインの需給に影響を与える可能性があります。2026年9月時点では分離課税制度は導入されていませんが、以下、現時点で判明していることを紹介します。
2025年12月に閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」において「暗号資産で得た所得に対する分離課税制度を導入する方針」などが示されていましたが、その後、大綱の内容を実現するための法改正が進められました。
2026年3月31日には「所得税法等の一部を改正する法律」が、7月15日には「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」が成立しました。なお、無登録業に対する罰則の引上げなど一部の規定は8月12日に施行されましたが、分離課税の前提となる規定は2026年9月時点においては施行されていません。
金商法等改正法の主要部分は「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日」に施行され、分離課税は「施行日が属する年の翌年1月1日以後の譲渡等」から適用される予定です。
分離課税導入後は、個人が国内業者を通じて特定暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録された暗号資産)を譲渡するケースに関しては、一律20%の税率(所得税15%・住民税5%)とされます。そのため、現行制度の総合課税で、暗号資産所得にかかる所得税・住民税の税率が合計20%を上回る場合は、分離課税導入後の税率が低くなります。ただし、「海外取引所やDEXでの売買・交換」「マイニングによる取得時の所得」などは、分離課税の対象外です。
今後、通達やQ&Aなどの公表も見込まれるため、金融庁や国税庁の公式Webサイトをこまめにチェックしましょう。
ビットコインに関するリスク・懸念要素
以下は、ビットコインに関する懸念要素です。
- 規制が強化されるかもしれない
- 現在の日本の税制では支払手段として活用しにくい
- スケーラビリティ問題がある
- 量子コンピューターの進化で暗号が破られるリスク
それぞれについて詳しく説明します。
規制が強化されるかもしれない
今後、マネー・ロンダリングなどの犯罪行為で利用されることを防止するために、暗号資産に関する規制が強化される可能性があります。
正当な商行為であっても活用しにくくなるかもしれないので、法規制の動向を注視しましょう。
現在の日本の税制では支払手段として活用しにくい
現在の日本の税制では、買い物をする際にビットコインで支払うと、ビットコインの価格が取得時よりも上昇している場合、差額に課税されます。
具体例として、以下に示す取引を実施したと想定して、シミュレーションを実施します。
- 4月10日:1,000,000円で0.1BTCを購入(レートは1BTC=10,000,000円)
- 10月5日:0.1BTCで1,500,000円の商品を購入(レートは1BTC=15,000,000円)
この場合、差額分の1,500,000円-1,000,000円=500,000円が、原則として雑所得に区分され、課税対象となります。
確定申告が必要になるケースがあるため、現状のままでは支払手段として活用しにくいことは否めません。例えば、給与を1か所から受け、給与収入が2,000万円以下で、その給与について年末調整が行われている場合、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。
参考:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」
スケーラビリティ問題がある
ビットコインには、スケーラビリティ問題(トランザクションが増加した際に、送金に時間がかかったり、手数料が高騰したりする問題)があります。スケーラビリティ問題への対応策のひとつとして、「ライトニングネットワーク」が活用されています。
ライトニングネットワークとは、ブロックチェーンの外部(レイヤー2ソリューション)で一部の処理を実施することで、ブロックチェーン本体(メインチェーン)の負荷を軽減する技術です。ビットコインのメインチェーン上で「ペイメントチャネル」を開設し、そのチャネルを利用してオフチェーンで取引することで、高速・低コストな送金を可能にする仕組みです。
具体的には、以下に示す3つのプロセスで処理が進行します。
- チャネルの開設:送金する側(Aさん)と受け取る側(Bさん)の間で「マルチシグ」と呼ばれる複数の署名が必要な仕組みを用い、ビットコインを共同管理するアドレスに資金をロックする(ブロックチェーン上に記録)
- チャネル内での送金:チャネルが開設されたら、AさんとBさんの間で何度でもスピーディーに送金できる(チャネル内の残高配分を更新するだけなので、ブロックチェーン上には記録されない)
- チャネルの閉鎖:送金が終わったら、最終的な残高をブロックチェーン上に記録してチャネルを閉じる
ブロックチェーンへの記録が実行されるのは、チャネルの開設時と閉鎖時の2回のみです。その間の送金はブロックチェーン外(オフチェーン)で処理されるため、ビットコインのブロックチェーン本体に負荷をかけることなく、高速かつ低コストな送金が可能です。
さらに、中継ノードを経由する「ルーティング」と呼ばれる仕組みにより、直接チャネルを開設していない相手にも送金できます。なお、HTLC(Hashed TimeLock Contract)という仕組みにより、送金できなかった場合には自動的に返金されるほか、中継者は手数料を受け取れます。
HTLCは、スマートコントラクトの一種で、「ハッシュロック」および「タイムロック」という機能を組み合わせたものです。
ハッシュロックとは、取引当事者の片方が秘密のデータを生成し、そのハッシュ値をトランザクションに組み込むことでトランザクションをロックする仕組みです。ハッシュ値とは、暗号学的ハッシュ関数を用いてデータを一定の長さを持つ値(固定長の文字列や数字の列)に変換したもので、原則としてハッシュ値から元データを復元することはできません。
タイムロックとは、トランザクションが一定時間経過するまで(または特定ブロックがマイニングされるまで)実行されないようにする仕組みです。
量子コンピューターの進化で暗号が破られるリスク
ビットコインでは、ECDSAやSchnorr署名などのデジタル署名によって、送金者が対応する秘密鍵を用いて正しく署名していることを検証します。そして、「SHA-256」がブロックのハッシュ計算などに用いられており、プルーフ・オブ・ワークによって大量の計算が必要となることで、過去の記録の改竄を困難にしています。
ハッシュ関数とは、任意の長さのデータから固定長のハッシュ値を生成する関数で、暗号学的ハッシュ関数では、ハッシュ値から元の入力データを求めることは現実的に困難です。
しかし、近年、量子コンピューターが進化しているため、将来、現在利用されている暗号技術の安全性が脅かされるのではないかと懸念されています。
量子コンピューターとは、量子力学の原理を応用して計算を行う新しいタイプのコンピューターで、特定の計算では従来型のコンピューターよりも大幅に高速化できる可能性があります。
従来型コンピューターでは、「0」か「1」のいずれかの状態を持つビット(情報の単位)を用いますが、量子コンピューターでは「0」と「1」の重ね合わせを表現できる「量子ビット」を用いて計算します。
量子ビットを実現するために複数の方法が提案されていますが、代表的な方式として、「超伝導方式」や「イオントラップ方式」などがあります。
超伝導方式は、極低温に冷却した電気的な共振回路で量子ビットを実現し、イオントラップ方式は、電場によって真空中に並べたイオンを量子ビットとして用います。
なお、量子コンピューターに関連した技術は急速に進化しているものの、現時点では以下に示す課題があり、発展途上の段階です。量子コンピューターを実用化するためには、物理・化学・材料工学・電子工学・機械工学・情報工学・数学など、多種多様な分野の知見を結集する必要があるとされています。
- 外部からのノイズや環境の影響によってエラーが発生しやすい
- 超伝導方式では、絶対零度に近い極低温環境で運用する必要がある
現在は、実用的な量子攻撃によってビットコインの署名方式を破ることは難しい状況ですが、5年後・10年後にどの程度進化しているかを正確に予測することは困難です。また、SHA-256についても、現時点でプルーフ・オブ・ワークの安全性を実用的に脅かす量子攻撃は実現していません。
特に初期に用いられた出力形式「P2PK」では、公開鍵が最初からブロックチェーン上で直接公開される仕組みであるため、量子コンピューターの性能が高まれば、「Shorのアルゴリズム」で公開鍵から秘密鍵が導き出される(ビットコインを盗まれる)おそれがあります。Shorのアルゴリズムは、整数の素因数分解や離散対数問題を効率的に解く量子アルゴリズムです。ECDSAなどの楕円曲線暗号では、離散対数問題を解くことで公開鍵から秘密鍵を導出できるとされています。
ビットコインのコミュニティでは量子耐性を高める方法が議論されており、2026年9月時点では「BIP360(Pay-to-Merkle-Root/P2MR)」がDraftとして提案されています。BIP360は、量子攻撃に弱い公開鍵が長期間露出するリスクを抑えるため、Taprootのkey-path spendを取り除く新たな出力形式を提案するものです。
ただし、短時間で公開鍵から秘密鍵を導出する攻撃まで防ぐものではなく、将来的には耐量子署名の導入も検討課題となっています。また、耐量子方式への移行を検討する「BIP361」などもDraftとして提案されており、具体的な移行策の検討も進んでいます。
ビットコインを売買するのであれば、量子コンピューター関連のニュースをこまめにチェックしましょう。
10年後に向けてビットコイン投資を検討すべき理由
10年後の価格を正確に言い当てることは不可能ですが、以下に示す理由・事情があるため、ビットコイン投資には独自の価値・魅力があります。資産防衛(インフレ対策)の選択肢となり得るほか、将来的な価格上昇が期待される側面もあるため、無理のない範囲でビットコイン投資を検討してはいかがでしょうか。
- 中央集権的な管理・発行主体が存在しない
- 発行量に上限があり、インフレ対策の選択肢となり得る
- インターネット上で自由に移転できる
それぞれについて詳しく説明します。
中央集権的な管理・発行主体が存在しない
日本円・米ドル・ユーロといった法定通貨や株式・債券などの資産・金融商品の場合、国家・企業が管理・発行しています。電子マネーも、企業が中央集権的に管理・発行しています。発行主体の信用状況や経済・金融政策、企業の業績などによって、価値が大きく変動する場合があります。
例えば、トルコの法定通貨である「リラ」は、高インフレや金融政策への信認低下などを背景に長期的な下落が続き、2007年には一時1リラ=99円台だったものが、2026年9月には3円台まで下落しています。
ビットコインの場合、中央集権的な管理・発行主体が存在しません。法定通貨や株式・債券のように、特定の国家・企業の信用リスクを直接負わない点が特徴です。
発行量に上限があり、インフレ対策の選択肢となり得る
日本円・米ドル・ユーロといった法定通貨には、ビットコインのようにあらかじめ固定された発行上限はありません。物価上昇が続くインフレ局面では、通貨の実質的な購買力が低下します。過去に100円で購入できた商品を、現在は100円では購入できないケースもあるでしょう。
それに対し、ビットコインは総発行量が「2,100万BTC」に制限されているため、供給面では希少性が意識されやすい資産です。貴金属の「金(ゴールド)」は採掘可能な量(地球に存在する量)に上限がありますが、このような特徴からビットコインも「デジタルゴールド」と呼ばれることがあります。
近年、世界中でインフレが進行していますが、インフレによる資産価値の目減りに備える観点から、ポートフォリオの一部に金(ゴールド)やビットコインを組み入れることを検討してもよいでしょう。ただし、ビットコインのインフレヘッジ効果は市場環境によって異なる点には注意が必要です。
インターネット上で自由に移転できる
上述したように、「埋蔵量・発行量に上限があり、インフレ耐性がある資産」という点は、金(ゴールド)もビットコインも同じです。ただし、金(ゴールド)は重量が大きく、防犯対策も必要なため、持ち運ぶことが容易ではありません。
ビットコインの場合、スマホなどのウォレットやペーパーウォレットで手軽に管理できるほか、インターネットに接続できる環境があれば、ブロックチェーンを介して自由に移転(送金)することも可能です。
法定通貨(日本円など)も、各金融機関の公式Webサイトの口座保有者向けページにログインして送金指示を出せば、自宅に居ながら海外口座に送金したり海外から受け取ったりできる場合があります。
ただし、海外口座に送金する場合には高額な手数料がかかることがあるほか、海外から送金されてきた場合には金融機関によるチェック(「送金の目的」「反社会的勢力が関与していないか」「マネー・ロンダリングではないか」「どのようにして得たお金なのか」などの確認)が実施され、受け取るまでに時間・手間がかかることがあります。
ビットコインはそもそも中央集権的な管理主体が存在しないため、個人のウォレット間で送金する場合、金融機関などの中央管理者による事前承認を受けずに送金できます。
なお、暗号資産取引所の口座にビットコインを入金したり口座から出金したりする場合は、「トラベルルール」に基づいて取引所がチェックを実施することがあるため、各取引所の公式Webサイトで詳細をご確認ください。
トラベルルールとは、ビットコインなどの暗号資産を「誰が」「どこに」送るのかを暗号資産交換業者同士で共有する(通知し合う)ルールです。2023年6月1日に施行された改正犯収法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)により、暗号資産交換業者に対して義務付けられました。
トラベルルール義務付けの背景には、FATF(金融活動作業部会)が、FATF基準(マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策についての国際基準)において、各国の規制当局に導入を求めていた事情があります。日本でも国際的な流れを受けて法制度が改正され、テロリストや反社会的勢力などによる不正な資金の移転を防止・追跡できる体制が構築・整備されたという経緯があります。
10年後に向けてビットコイン投資を実施する際に心がけたいこと
ビットコインの価格は、長期的に上昇傾向ですが、短期的には下落することもあります。また、海外取引所を利用すると、トラブルが発生した際に言語・法律面で高いハードルがあり、対応が困難なケースがあるかもしれません。ビットコイン投資を実施するのであれば、以下に示す方法でリスクの低減に努めましょう。
- 一定金額分のビットコインを定期的に購入し続ける
- ビットコイン以外の資産にも分散投資する
- 生活防衛資金を確保したうえで、余裕資金で投資する
- 国内取引所でビットコインを売買する
それぞれについて詳しく説明します。
一定金額分のビットコインを定期的に購入し続ける
ビットコイン価格は、長期的には上昇傾向にありますが、短期的には下落する局面も見受けられます。過去の価格推移を見ると、しばしば価格が高騰した後に下落に転じているため、一度に大量にビットコインを購入すると高値掴みの状態に陥る可能性があります。
ビットコイン投資を実施するのであれば、あるタイミングで一度に大量に購入するのではなく、一定金額分(1,000円分・1万円分など)のビットコインを、週1回・月1回など、定期的に購入し続けることが重要です。
一定金額分の資産・金融商品を定期的に購入し続ける(積み立てる)手法は、「ドル・コスト平均法」または「定額購入法」と呼ばれます。ドル・コスト平均法(定額購入法)では、価格が低い局面では多くの数量のビットコインを購入し、価格が高い局面では少ない数量のビットコインを購入するため、購入価格を平準化し、高値で一括購入するリスクの軽減につながります。
「価格が常に上昇する」という仮定・シナリオでシミュレーションすると、最初に一括で大量購入するほうが有利です。しかし、現実のビットコイン価格は常に上昇しているわけではなく、上下に波打っているため、ドル・コスト平均法(定額購入法)で価格変動リスクを低減しましょう。
ビットコイン以外の資産にも分散投資する
ビットコインだけに集中的に投資するのではなく、それ以外の資産(ビットコイン以外の暗号資産や株式・投資信託・債券・貴金属・不動産など)にも分散投資しましょう。
投資の格言に、「1つのカゴに卵を盛るな」というものがあります。卵を1つのカゴに入れていた場合、そのカゴを地面・床に落としてしまうと、すべて割れてしまうでしょう。しかし、複数のカゴに分けて入れておけば、あるカゴを落としてしまっても、ほかのカゴに入っている卵に損害は生じず、食べたり孵化させたりできます。
多種多様な資産に分散投資していれば、ある資産の価格が下落しても、ほかの資産の価格は同じ状態を維持したり上昇したりするケースがあり、トータルでは下落分をカバーできることがあります。そのため、保有資産全体の価値が減少するリスクを低減することが可能です。
なお、ビットコインなどの暗号資産は、ほかのアセットクラス(株式など)に比べて価格変動が大きいため、初心者の場合はポートフォリオに占める割合の上限を5~10%程度(例えば、全資産が2,000万円の場合は100万円~200万円程度)にすると安心です。暗号資産に詳しい方や投資に慣れている方は、ご自身の資産状況や投資目的、リスク許容度に応じて適切な割合を検討してください。
生活防衛資金を確保したうえで、余裕資金で投資する
生活防衛資金には手を付けず、余剰資金の範囲内でビットコイン投資を実施しましょう。確保するべき生活防衛資金の目安は、3ヶ月~半年程度生活可能な金額です。
ビットコインの価格は長期的には上昇傾向にありますが、短期的には下落することがしばしばあります。ビットコイン投資は、株式投資などと同じように、売買するタイミングによっては元本割れする可能性があります。生活に必要な資金(食費・家賃・水道光熱費など)をビットコイン投資に用いると、元本割れした場合に生活が立ち行かなくなるかもしれません。
国内取引所でビットコインを売買する
海外取引所を利用する場合、トラブルが発生した際に日本の法令に基づく利用者保護が十分に及ばないおそれがあります。
ただし、日本の居住者を相手に暗号資産取引を行う業者は、日本の法令に基づく登録が必要とされています。無登録の業者は利用者保護の態勢が整っていない可能性があり、出金を拒否されるなどのトラブルも報告されています。利用を検討する際は、金融庁の公式Webサイトで登録の有無や警告の有無を必ずチェックしましょう。
2026年9月1日時点では、27業者が金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」に登録されています。また、警告書が発出された無登録の海外業者の一覧は、「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」に掲載されています。
なお、上述したように、分離課税制度の対象となる取引については、国内業者を通じた一定の暗号資産取引に新制度が適用される予定です(海外取引所で取引した場合は、分離課税の対象外)。
ビットコイン投資を実施するのであれば、確定申告・納税の義務を履行しよう
ビットコイン投資で所得を得たら、税法に基づいて確定申告・納税しなければなりません。前述したように、近い将来、分離課税制度が導入される予定ですが、ここでは現行の税制について説明します。
2026年9月時点の税制では、ビットコインの売買などで得た所得(後述するように「雑所得」または「事業所得」に区分)は総合課税の対象で、課税所得金額(各種所得金額の合計から所得控除額を差し引いた金額)が増えるほど税率が上昇する仕組みです。所得税額は、以下の「所得税の速算表」によって算出されます。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
| 1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
| 1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、課税所得金額が600万円の場合、所得税額は600万円×0.2-427,500円=772,500円です(税額控除を受ける場合は、それを差し引いて所得税額を計算します)。
納税するべき金額が発生しているのにもかかわらず、期限までに申告しなかったり、過少な金額を申告・納税したりすると、税務調査を受けて追徴課税される(本来の税金のほかに無申告加算税・過少申告加算税・重加算税・延滞税を課される)可能性があるほか、刑事罰を科されるケースも見受けられます。
下表に、加算税の税率をまとめました。税務調査前に自主的に期限後申告・修正申告した場合は、税率が軽減されることがあります。
| 加算税の種類 | 無申告加算税 | 過少申告加算税 |
| 税務調査後に適用される原則税率(本来納付するべき税額または新たに納付する税額にかける税率) |
|
|
| 重加算税(仮装・隠蔽したと認定された場合の税率) | 40% | 35% |
延滞税は、納期限翌日から納付日までの日数に応じて、下表に示す割合で課されます。延滞税特例基準割合とは、前々年9月~前年8月の各月における銀行の新規短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た数値(前年11月末までに財務大臣が告示)に年1%を加算した割合です。
| 納期限翌日から2ヶ月を経過する日まで | 年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合 |
| 納期限翌日から2ヶ月を経過した日以後 | 年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合 |
詳細は、国税庁公式Webサイトでご確認ください。
近年、税務署・国税庁は、AI(人工知能)ツールなどを活用し、暗号資産による所得の申告漏れや過少申告の補足を強化しており、過去には所得税法違反で起訴されたうえで有罪判決が下されたケース(ビットコイン取引で約2億円の利益を得たにもかかわらず、「120万円の利益を得た」と虚偽申告し、懲役1年・執行猶予3年および1,800万円の罰金を言い渡された事例など)もあります。
不明な点がある場合は自己判断するのではなく、税務署や税理士などに相談・質問したうえで、必ず期限までに確定申告・納税を実施しましょう。
以下、どのような状況で「所得を得た」とみなされるのかや、所得の区分、複数回売買した場合の損益計算の方法を紹介します。
ビットコインで「所得を得た」とみなされる状況
以下は、「ビットコインで所得を得た」とみなされる可能性がある状況・場面です。
- 取得時よりも値上がりしているタイミングで、ビットコインを売却したケース
- 取得時よりも値上がりしているタイミングで、ビットコインを他銘柄の暗号資産(イーサリアムなど)に交換したケース
- 取得時よりも値上がりしているタイミングで、ビットコインを決済手段として用いたケース
- マイニング・レンディングなどでビットコインを取得したケース
保有しているビットコインのハードフォークによって新たな銘柄を得た場合は、取得時点では市場価格が形成されていないため、所得を得たとみなされません。ただし、その後に売却・交換したり、決済手段として用いたりした時点で所得が生じることに注意しましょう(この場合の取得価額は0円)。
1~3に関しては、「売却・交換・決済した際の市場価格」から「取得価額(購入代金や手数料など、取得に要した金額)」および「必要経費(回線利用料やパソコンの購入費用など)」を差し引いた金額の所得を得たとみなされます。4に関しては、「取得時の市場価格」から「必要経費」を差し引いた金額が所得金額となります。
例えば、1BTC=700万円の際に0.5BTC分のビットコインを購入して1BTC=900万円の際に全量を売却し、手数料や必要経費が合計で1万円かかった場合、所得金額は450万円-350万円-1万円=99万円です。
また、1BTC=600万円の際に0.5BTC分のビットコインを購入して1BTC=1,000万円の際に全量をイーサリアムに交換し、手数料や必要経費が合計で3万円かかった場合、所得金額は500万円-300万円-3万円=197万円です。
1BTC=700万円の際に0.05BTC分(35万円分)のビットコインを購入して1BTC=1,200万円の際に0.05BTC分(60万円分)のビットコインを決済手段として用いて、手数料や必要経費が合計で1万円かかった場合、所得金額は60万円-35万円-1万円=24万円と算出されます。
市場価格が1BTC=1,000万円の際にマイニングで3.125BTC分のビットコインを取得し、必要経費が300万円かかった場合、所得金額は3,125万円-300万円=2,825万円です。
ビットコインの売買などで得た所得の区分
ビットコインの売買などで得た所得は、原則として「雑所得(その他雑所得)」に区分されます。収入金額が300万円を超えていて帳簿・書類の作成・保存がない場合は、「雑所得(業務に係る雑所得)」に区分されます。
雑所得とは、事業所得・不動産所得・利子所得・配当所得・給与所得・譲渡所得・一時所得・山林所得・退職所得のいずれにも該当しない所得です。下表に、各所得の概要・具体例をまとめました。詳細は、国税庁公式Webサイトの「所得の種類と課税方法」でご確認ください。
所得の種類 | 概要・具体例 | |
| 事業所得 | 商業・工業・漁業・農業・自由職業など、自営業から生ずる所得 | |
| 不動産所得 | 土地・建物・船舶・航空機などの貸付けから生ずる所得 | |
| 利子所得 | 預貯金や特定公社債の利子などによる所得 | |
| 配当所得 | 法人から受ける剰余金の配当や、公募株式等証券投資信託の収益の分配などによる所得 | |
| 給与所得 | 俸給・給料・賃金・賞与・歳費などによる所得 | |
| 雑所得 | 公的年金などによる雑所得 | 国民年金・厚生年金・確定給付企業年金・確定拠出年金・恩給や一定の外国年金などによる所得 |
| 業務に係る雑所得 | 原稿料・講演料、シルバー人材センターやシェアリング・エコノミーなどの副収入による所得 | |
| その他雑所得 | ほかの区分に当てはまらない雑所得(生命保険の年金や先物取引に係る所得、暗号資産取引による所得など) | |
| 譲渡所得 | 土地・建物・借地権・株式・ゴルフ会員権・金地金・機械などの譲渡による所得(事業所得・雑所得に区分されるものを除く) | |
| 一時所得 | 生命保険の一時金や賞金・懸賞当選金、ふるさと納税の返礼品などによる所得 | |
| 山林所得 | 所有期間が5年を超える山林(立木)を伐採して譲渡したことなどによる所得 | |
| 退職所得 | 退職金や一時恩給、確定給付企業年金法および確定拠出年金法に基づく一時払いの老齢給付金などによる所得 | |
その他雑所得の場合、必要経費として計上可能なのは、直接費用(収入を得るために直接要した費用)のみです。業務に係る雑所得の場合、直接費用に加えて、間接費用(販売費・一般管理費など、業務について生じた費用)も計上できます。直接費用の具体例としては回線利用料・パソコン購入費用などが、間接費用の具体例としては書籍代・セミナー参加費などが挙げられます。
以下に示す条件をいずれも満たす場合は、ビットコインで得た所得は、原則として「事業所得」に区分されます。
- ビットコインによる収入金額が300万円を超えている
- ビットコインの取引に関する帳簿・書類を作成・保存している
- 社会通念上、事業としての実態を備えている(「営利性・反復継続性があるか」など、さまざまな観点を踏まえて総合的に判定)
事業所得を生む活動に付随してビットコイン取引を実施したケース(事業としてビットコインを保有し、仕入代金の決済手段として用いた場合など)に関しては、上記条件にかかわらず事業所得に区分されます。
事業所得の場合、「ほかの種類の所得(不動産所得・譲渡所得など)と損益通算できる」「青色申告すれば、青色申告者向けの各種特典を受けられる」といったメリットを享受することが可能です。
青色申告の特典としては、「最高65万円の青色申告特別控除」「純損失の繰越し(3年間)や繰戻し」などが挙げられます。
なお、青色申告しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合は開業から2ヶ月以内)に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません(提出期限が土曜日・日曜日・祝日の場合は、これらの日の翌日が期限)。
下表に、青色申告特別控除の控除額、および、適用を受けるための要件をまとめました。
控除額 | 適用を受けるための要件 |
| 10万円 | 「55万円の青色申告特別控除」および「65万円の青色申告特別控除」の要件に該当しない青色申告者が受けられる |
| 55万円 | 以下に示す3つの要件を満たす
|
| 65万円 | 「55万円の青色申告特別控除」の要件を満たし、かつ、以下のいずれかの要件を満たす
|
電子帳簿保存とは、各税法で保存が義務付けられている帳簿・書類について、一定の要件のもとで、コンピューターで作成した帳簿・書類を紙に出力することなく、ハードディスクなどに記録した電子データのまま保存することです。
詳細は、国税庁公式Webサイトのタックスアンサー(よくある税の質問)「No.2072 青色申告特別控除」などでご確認ください。
損益計算の方法
ビットコインの売買による損益は「(譲渡価格-取得単価)×譲渡数量」で算出され、利益から必要経費を差し引くことで所得金額を計算することが可能です。複数回ビットコインの売買を実施した場合は、以下に示すいずれかの方法で取得単価を計算します。
- 総平均法
- 移動平均法
個人の場合、評価方法の届出をしなかった場合は、総平均法によって評価することとされています。暗号資産の評価方法を選定する場合は、「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を、原則としてその暗号資産を新たに取得した日の属する年分の確定申告期限までに提出します。
総平均法とは、1年間で取得したビットコインの総額を、取得した総量で割って1BTCあたりの平均取得価格を算出する方法です。簡単に計算できますが、年末になるまで損益を正確に把握できないことにご留意ください。
以下のケースを想定し、総平均法による損益計算のシミュレーションを実施します。
日付 | 購入・売却数量 | 購入・売却価格 |
4月10日 | 1BTC購入 | 300万円 |
6月20日 | 1BTC購入 | 400万円 |
8月15日 | 1BTC売却 | 550万円 |
9月10日 | 1BTC購入 | 600万円 |
12月15日 | 1BTC購入 | 700万円 |
この場合、1BTCあたりの平均取得単価は(300万円+400万円+600万円+700万円)÷4=500万円です。年間利益は、550万円(8月15日に売却した際の単価)-500万円(平均取得単価)=50万円と算出されます。
他方、移動平均法とは、購入する都度、取得価額を再計算・更新する手法です。リアルタイムで損益を正確に把握することが可能ですが、計算が複雑であり、総平均法に比べて労力を要します。
下表に、各日付における取得単価が更新される様子をまとめました(総平均法で試算した際と同じ「日付」「購入・売却数量」「購入・売却価格」を想定)。
日付 | 購入・売却数量 | 購入・売却価格 | 残高 | 取得単価 |
4月10日 | 1BTC購入 | 300万円 | 1BTC | 300万円 |
6月20日 | 1BTC購入 | 400万円 | 2BTC | (300万円+400万円)÷2=350万円 |
8月15日 | 1BTC売却 | 550万円 | 1BTC | 350万円(更新なし) |
9月10日 | 1BTC購入 | 600万円 | 2BTC | (350万円+600万円)÷2=475万円 |
12月15日 | 1BTC購入 | 700万円 | 3BTC | (475万円×2+700万円)÷3=550万円 |
年間利益は、550万円(8月15日に売却した際の単価)-350万円(8月15日時点の取得単価)=200万円と算出されます。このように総平均法と移動平均法で計算結果に差が生じるケースがあります。それぞれの計算方法の特徴を確認したうえで、適用する評価方法を検討しましょう。
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「1BTC=何円に到達する」と具体的な金額を言い当てることは不可能ですが、これまで長期的には上昇傾向で推移してきたため、10年後のビットコイン価格は現在よりも上昇している可能性が高いでしょう。
ただし、短期的には値下がりする局面もあります。価格に影響を及ぼす主な要因としては、「実質金利」「有事の安全資産とみなす投資家の数」「ビットコイン現物ETFへの資金流入/流出」「市場がリスクオンの状態かリスクオフの状態か」が挙げられます。そのほか、半減期や法規制の動向も価格に影響を及ぼす要因です。これらの要素をチェックしたうえで、慎重にトレードしてください。
加えて、ビットコイン価格は常に上下に動いているため、高値で一括購入するリスクを抑え、購入価格を平準化するために、一度に大量に購入するのではなく一定金額分のビットコインを定期的に購入し続けることが重要です。また、生活防衛資金を確保し、余裕資金で投資することを心がけましょう。
海外取引所を利用する場合は、言語・法律面のハードルがあるため、ビットコイン投資の初心者は、金融庁に登録された国内業者が運営する取引所を選択肢として検討するとよいでしょう。
ビットコインには、「中央集権的な管理・発行主体が存在しない」「発行量に上限がある」「インターネット上で自由に移転できる」といった魅力があります。株式・投資信託・債券・金(ゴールド)といった以前から投資対象とされてきたアセットクラス・金融商品だけではなく、ビットコイン投資も実施してはいかがでしょうか。
なお、ビットコインに投資するのであれば、日々、売買などの記録を作成し、確定申告に備えて損益計算を正確に実施しなければなりません。
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国内・海外の主要取引所の取引データをスムーズに取り込めるほか、手元のウォレットで保管しているビットコインにも対応可能です。また、移動平均法・総平均法のいずれにも対応しているため、採用している評価方法に応じて損益を計算できます。
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