暗号資産(仮想通貨)で所得を得てもバレない?確定申告しなかった場合のペナルティなどを詳しく解説!
家族や友人などから「暗号資産(仮想通貨)の売買などで所得を得たとしてもバレないから確定申告しなくても大丈夫」という話を聞いた経験がある方がいるかもしれません。しかし、さまざまな原因により、暗号資産による所得がバレて追徴課税を受けるケースがあるため、確定申告・納税の義務を果たしましょう。
本記事では、「暗号資産で所得を得てもバレないから確定申告は不要」という意見が間違いであることや、税務署・国税庁にバレる原因、暗号資産で所得を得た個人に対する税務調査・追徴課税の実態を説明します。暗号資産で利益を得たとみなされる場面・条件や、所得区分、節税策、確定申告の手順、申告・納税しなかった場合のペナルティも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
※個別具体的な税務上の取り扱いについては、所轄の税務署または税理士などにご確認ください。
「暗号資産(仮想通貨)で所得を得てもバレないから確定申告は不要」という意見は間違い
家族や友人などから「暗号資産で所得を得ても、黙っていれば税務署・国税庁にバレないから、確定申告する必要はない」などと言われた経験がある方がいるかもしれません。しかし、そのような主張・意見は間違いです。
近年、国税庁は、AIツールなどを活用して税務調査を強化している可能性があります。暗号資産で得た所得がバレて追徴課税を受ける事例が増加しており、刑事罰を科されるケースも見受けられるため、税法に基づいて適正に確定申告・納税を行ってください。
「バレないから」ではなく、税法によって確定申告が不要とされているケースはある
「バレない(税務署・国税庁が把握できない)から確定申告は不要」という考え方は間違いですが、「税法の規定によって確定申告が不要とされているケース」はあります。
具体的には、年収2,000万円以下の給与所得者で、副業所得(暗号資産で得た所得など)の合計が20万円以下の場合は、税務署に確定申告する義務はありません。ただし、確定申告が不要な場合でも、自治体に対する住民税の申告は必要です。なお、窓口で紙の申告書を入手できるほか、各自治体の公式Webサイトからダウンロードして印刷することも可能です。
暗号資産で得た所得が税務署・国税庁にバレる原因
暗号資産で所得を得た場合、以下に示す理由・原因で税務署・国税庁にバレる可能性があります。
- 国内取引所からの情報提供でバレる
- 海外取引所での売買などを実施したケースに関しても、租税条約に基づく情報交換でバレる
- ブロックチェーンやSNSの投稿内容などの分析でバレる
それぞれについて詳しく説明します。
国内取引所からの情報提供でバレる
税務署・国税庁には強力な調査権があり、調査に応じた暗号資産交換業者が取引データを提供する場合があります。また、金融機関の口座の入出金記録を照会する権限もあり、マイナンバーなどに基づいて、同一人物が保有する各種口座間での資金の動きが捕捉されます。
そのため、税務署・国税庁は、「誰が、いつ、どのくらいの数量の暗号資産を売買して、どのくらいの利益を得たのか」を把握することが可能です。納めるべき税金が発生しているにもかかわらず、確定申告・納税をしていない場合は、税務調査の対象とされる可能性があります。
海外取引所での売買などを実施したケースに関しても、租税条約による情報交換でバレる
日本はさまざまな国と租税条約を締結しており、世界各国の税務当局と情報交換を行っています。そのため、海外の取引所で売買などを実施したケースに関しても、税務署・国税庁にバレることがあります。
2027年以降は「CARF」によって自動的に情報交換する仕組みが始まるため、隠し通すことは困難になるでしょう。CARF(Crypto-Asset Reporting Framework)とは、暗号資産取引の報告に関する枠組み(情報交換の共通基準)で、2022年にOECD租税委員会によって承認されました。
ブロックチェーンやSNSの投稿内容などの分析でバレる
税務署・国税庁がAIツールなどを用いてブロックチェーン上の記録を分析した際に、暗号資産によって所得を得たことがバレる可能性があります。
また、SNS上での投稿内容もチェックされており、調査のきっかけになるケースも見受けられます。
暗号資産の所得を申告していない個人に対する税務調査・追徴課税の実態
2025年12月に国税庁が公表した「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、暗号資産で所得を得た個人に対し、613件の実地調査が実施されました。なお、1件あたりの申告漏れ所得金額は2,538万円で、申告漏れ所得金額の総額は156億円、追徴税額の総額は46億円です。
また、刑事告発が行われるケースもあります。例えば、令和2年度には、暗号資産による所得を除外して所得税の納税を免れていた人物が刑事告発され、所得税法違反の罪で懲役1年(執行猶予3年)および罰金1,800万円の有罪判決が下されました。
近年、国税庁はAIツールなどを活用し、暗号資産で所得を得た個人に対する税務調査を強化しています。暗号資産で所得を得たのであれば、「バレないだろう」と考えて放置するのではなく、確定申告・納税を適切に行いましょう。
どのような場面・条件で暗号資産による所得が発生したとみなされるのか
以下は、暗号資産で所得を得たとみなされる場面・状況です。なお、収入から必要経費(電気代・通信費など)を差し引いたものを所得と呼びます。
- 暗号資産を売却した場合
- 別の銘柄と交換した場合
- 暗号資産で商品を購入した場合
- マイニングなどで暗号資産を取得した場合
それぞれについて詳しく説明します。
暗号資産を売却した場合
保有している暗号資産を、取得時点よりも値上がりしているタイミングで売却して日本円を得た場合、差額が利益とみなされます。
例えば、レートが「1BTC=900万円」のタイミングでビットコイン1BTCを購入し、「1BTC=1,000万円」のタイミングで1BTCを売却した場合、差額の100万円が利益です。
別の銘柄と交換した場合
ある暗号資産Aを取得時点の価格よりも値上がりしているタイミングで別の暗号資産Bに交換した場合、差額が利益とみなされます。
例えば、レートが「1BTC=800万円」のタイミングでビットコイン1BTCを購入し、「1BTC=950万円」の際に全量をイーサリアムに交換した場合、差額の150万円が利益です。
暗号資産で商品を購入した場合
取得時点よりも値上がりしているタイミングで、暗号資産を決済手段として用いて商品を購入した場合、差額が利益とみなされます。
例えば、レートが「1BTC=750万円」の際にビットコイン0.1BTC(75万円相当)を取得し、「1BTC=1,000万円」の際に0.1BTC(100万円相当)を用いて商品の購入代金を支払った場合、差額の25万円が利益です。
マイニングなどで暗号資産を取得した場合
マイニング・ステーキングなどで暗号資産を得た場合は、取得時点における時価(市場価格)が利益とみなされます。なお、所得額は、利益から必要経費(マイニング用機器の購入費用や電気代・通信費など)を差し引いた金額です。
ハードフォークで暗号資産を得た場合に関しては、取得時点では取引相場が存在しないため、利益はゼロとみなされます。
暗号資産で得た所得の区分
暗号資産で得た所得は、原則として「雑所得」に区分されますが、状況によっては「事業所得」に区分されるケースもあります。なお、所得区分によって、経費として計上できるものが異なるため、どの所得区分に該当するのかを正確に把握しなければなりません。
原則として雑所得に区分される
暗号資産の売買・マイニング・ステーキングなどで得た所得は、原則として「雑所得」の「その他の雑所得」に区分されます。ただし、以下のいずれにも該当する場合は、原則として「業務に係る雑所得」に区分されます。
- 暗号資産で得た収入が300万円を超えている
- 取引に関する帳簿書類を作成・保存していない
詳細は、国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」でご確認ください。
事業所得に区分されるケースもある
以下のいずれにも該当する場合は、原則として「事業所得」に区分されます。
- 暗号資産で得た収入が300万円を超えている
- 取引に関する帳簿書類を作成・保存している
国税庁は、「帳簿書類の保存があったとしても、暗号資産取引に営利性が認められない場合などには、事業所得に該当するかどうかを個別に判断する」という見解を示しています。不安がある場合は、自己判断するのではなく、税務署や税理士に相談しましょう。
所得区分によって経費として計上できるものが異なる
売上原価など、収入を得るために必要な直接費用は、どの所得区分においても必要経費として計上できます。直接費用の具体例としては、取引所の各種手数料(出入金手数料・取引手数料・口座開設手数料・口座維持手数料など)や、電気代・通信費、マイニング用機器の購入費用などが挙げられます。
販売費・一般管理費など、業務を遂行するうえで必要な間接費用は、所得区分が「その他の雑所得」の場合には経費として計上できません(「業務に係る雑所得」や「事業所得」の場合は計上可能)。間接費用の具体例としては、暗号資産投資に関する書籍代やセミナー・研修会への参加費用、会計ソフト費用、税理士費用などが挙げられます。
暗号資産で所得を得た場合の節税策
必要経費を漏れなく計上すれば、その分、所得金額が圧縮され、所得税額が減少します。ただし、経費として計上できないもの(食費・娯楽費など)を含めてはなりません。電気代・通信費などに関しては、家事で利用した分は除外し、暗号資産の売買などで利用した分のみを経費として計上してください。
同一所得区分内での損益を通算することも、節税策として有効です。例えば、副業として「手芸品の製造・販売」を行って赤字になった場合は、その金額を暗号資産による雑所得から差し引けます。
また、各種所得控除・税額控除の適用を受けることも、税額を低減するうえで重要です。条件を満たす場合は、医療費控除や住宅ローン控除などを受けましょう。
確定申告の大まかな手順
日々、暗号資産の取引に関する記録を作成し、紛失したり汚損したりしないように保存しておきましょう。そして、作成した記録(または、取引所から交付された「年間取引報告書」)に基づいて、総平均法・移動平均法のいずれかを用いて損益計算を行い、必要経費を差し引いて所得を算出してください。
総平均法は、年間の取得金額の合計を取得数量の合計で割って平均取得単価を算出する方法です。計算プロセスが移動平均法に比べてシンプルですが、期末(年末)にならないと損益を正確に把握できません。移動平均法は、暗号資産を取得する都度、取得単価を更新していく方法です。計算プロセスが総平均法に比べて複雑ですが、期中でも(年末まで待たなくても)損益を正確に把握できます。
移動平均法を選択する場合は、税務署に「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を提出しなければなりません。提出しない場合は、総平均法を選択したとみなされます。
所得から所得控除を差し引いた「課税所得金額」に税率をかけて所得税額を計算し、税額控除を差し引いて実際に納める所得税の金額を算出したら、確定申告書に必要事項を記入したうえで税務署に提出(持参または郵送)し、納税しましょう。紙ではなく、e-Taxで電子的に提出することも可能です。
確定申告・納税の義務を履行しなかった場合のペナルティ
納めるべき税金が発生しているにもかかわらず、確定申告・納税しなかった場合には無申告加算税が、本来よりも少ない金額を申告・納税した場合には過少申告加算税が課される可能性があります。「仮装・隠蔽があった」と認定された場合には重加算税が課されます。
また、納期限翌日からの経過日数に応じて延滞税も課されるほか、所得税法違反などで刑事罰が科されるケースもあるため、期限までに正確に確定申告・納税を行いましょう。
下表に、加算税の原則税率をまとめました。なお、税務調査前に期限後申告・修正申告した場合は、税率が軽減されることがあります。
| 加算税の種類 | 無申告加算税 | 過少申告加算税 |
| 原則税率(本来納付すべき税額または新たに納付する税額に対する税率) |
|
|
| 重加算税 | 40% | 35% |
延滞税は、納期限翌日から納付日までの日数に応じて、下表に示す割合で課されます。
| 納期限翌日から2か月を経過する日まで | 年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合 |
| 納期限翌日から2か月を経過した日以後 | 年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合 |
延滞税特例基準割合とは、前々年9月~前年8月の各月における銀行の新規短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た数値に年1%を加算した割合です。
詳細は、国税庁公式Webサイトでご確認ください。
「クリプトマネージ」で暗号資産の損益計算を自動化し、スムーズな確定申告・納税を実現しよう
税務署・国税庁は、さまざまな方法で暗号資産による所得があるかどうかを調査しています。「バレないだろう」という考えで確定申告・納税の義務を怠っていると、税務調査を受けて、追徴課税されたり、刑事罰を科されたりする可能性があります。そのため、暗号資産で所得を得たら、税法に基づいて適正に確定申告・納税をしましょう。
確定申告をするためには、損益計算を正確に実行する必要があります。手作業では多大な時間・労力がかかるため、ITツールで自動化しましょう。おすすめの損益計算自動化ツールは、株式会社イー・ラーニング研究所の「クリプトマネージ」です。国内・海外の主要取引所の売買データをスムーズに取り込めるほか、手元のウォレットで保管している暗号資産のデータにも対応可能です。
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