雑所得とは?税率や計算方法など、暗号資産で利益を得た方が把握しておきたいポイントを紹介!
暗号資産投資を検討中の方や、すでに投資を始めている方は、「暗号資産で得た所得は雑所得に区分される」という情報を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。ただし、雑所得がどのようなものなのかは、正確に把握できていないかもしれません。
本記事では、雑所得とはどのような所得なのかを詳しく解説します。税率や計算方法など、暗号資産で利益を得た方が把握しておきたいポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
※個別具体的な税務上の取り扱いについては、所轄の税務署または税理士などにご確認ください。
雑所得とは
所得税法第35条で「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう」と定義されています。なお、所得とは、収入から必要経費を差し引いたものです。
下表に、雑所得以外の所得の概要をまとめました。これらに該当しない所得は、雑所得に区分されます。
| 利子所得 | 預貯金・公社債の利子ならびに合同運用信託、公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託の収益の分配による所得 |
| 配当所得 | 株主・出資者が法人から受ける配当や、投資信託および特定受益証券発行信託の収益の分配などによる所得 |
| 不動産所得 | 不動産や不動産の上に存する権利(借地権など)、船舶・航空機の貸付けによる所得 |
| 事業所得 | 農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業などの事業による所得 |
| 給与所得 | 使用人・役員などが支払いを受ける俸給や給料・賃金・歳費・賞与のほか、これらの性質を有する給与による所得 |
| 退職所得 | 退職手当や、厚生年金基金の加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などによる所得 |
| 山林所得 | 山林を伐採して(または、立木のままで)譲渡することによって生じる所得 |
| 譲渡所得 | 土地・建物・ゴルフ会員権などの資産の譲渡によって生じる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のもの |
| 一時所得 | 上記のいずれにも該当せず、営利目的の継続的行為から生じた所得以外で、労務・役務の対価や資産譲渡の対価としての性質を有しない一時の所得 |
詳細は、国税庁公式Webサイトでご確認ください。
雑所得は3種類に大別される
雑所得は、以下に示す3つの種類に大別されます(確定申告書の所得欄では、各種類の所得金額を記入する仕組み)。
- 公的年金等の雑所得
- 業務に係る雑所得
- その他の雑所得
それぞれに関して詳しく説明します。
公的年金等の雑所得
公的年金等の雑所得とは、国民年金、厚生年金、確定給付企業年金、確定拠出年金、恩給、一定の外国年金などによる所得です。
民間保険会社の個人年金などは「その他の雑所得」であり、公的年金等の雑所得には該当しません。
業務に係る雑所得
業務に係る雑所得とは、業務に関連した雑所得(事業的規模ではない活動によって得たもの)です。以下に具体例を示します。
- 原稿料
- 講演料
- シルバー人材センターから紹介された業務による所得
- シェアリング・エコノミーに関連した業務による所得
事業的規模の場合は「事業所得」に区分されます。事業的規模であるかどうかは、社会通念上、「事業」と認められるかどうかによって判定される仕組みです。1981年4月24日に下された判例では、「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」と判示されています。
その他の雑所得
その他の雑所得とは、上記2種類に区分されない雑所得です。民間保険会社の個人年金による所得のほか、原則として暗号資産取引で得た所得も、その他の雑所得に区分されます。
なお、暗号資産による所得に関しては、状況によっては「業務に係る雑所得」や「事業所得」に区分されることもあります。
暗号資産の売買などで得た所得は原則として雑所得に区分される
暗号資産の売買・マイニングなどで得た所得は、上述したように、原則として「雑所得」の「その他の雑所得」に区分されます。ただし、「業務に係る雑所得」や「事業所得」に該当するケースもあるので、どのような条件で判定されるのかを正確に把握しておきましょう。
「業務に係る雑所得」に区分されるケース
国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」によると、以下のいずれにも該当する場合は、原則として「業務に係る雑所得」に区分されます。
- 暗号資産で得た収入が300万円を超えている
- 取引に関する帳簿書類を作成・保存していない
所得ではなく、収入で判定されることを認識しておきましょう。例えば、マイニングで400万円の収入を得て、必要経費が150万円かかった場合、所得は250万円です。しかし、収入が300万円を超えているため、この場合は基準を満たします。
「事業所得」に区分されるケース
以下のいずれにも該当する場合は、原則として「事業所得」に区分されます。
- 暗号資産で得た収入が300万円を超えている
- 取引に関する帳簿書類を作成・保存している
ただし、国税庁は「帳簿書類の保存があったとしても、暗号資産取引に営利性が認められない場合などには、事業所得に該当するかどうかを個別に判断する」という見解を示しています。不安がある場合は、税務署や税理士に相談しましょう。
「暗号資産で利益を得た」とみなされる場面・条件
以下は、「暗号資産で利益を得た」とみなされる場面・条件です。
- 暗号資産を売却した場合
- 別の銘柄と交換した場合
- 暗号資産で商品を購入した場合
- マイニングなどで暗号資産を取得した場合
それぞれについて詳しく説明します。
暗号資産を売却した場合
取得時点よりも値上がりしているタイミングで、保有している暗号資産を売却した場合、差額が利益とみなされます。
例えば、レートが「1BTC=500万円」の際にビットコイン1BTCを購入し、「1BTC=1,000万円」の際に1BTCを売却した場合、差額の500万円が利益です。
別の銘柄と交換した場合
取得時点よりも値上がりしているタイミングで、保有している暗号資産を別の銘柄と交換した場合、差額が利益とみなされます。
例えば、レートが「1BTC=600万円」の際にビットコイン1BTCを購入し、「1BTC=800万円」の際に全量をイーサリアムに交換した場合、差額の200万円が利益です。
暗号資産で商品を購入した場合
取得時点よりも値上がりしているタイミングで、保有している暗号資産を決済手段として用いて商品を購入した場合、差額が利益とみなされます。
例えば、レートが「1BTC=750万円」の際にビットコイン0.1BTC(75万円相当)を取得し、「1BTC=1,000万円」の際に0.1BTC(100万円相当)を用いて商品の購入代金を支払った場合、差額の25万円が利益です。
マイニングなどで暗号資産を取得した場合
マイニング・ステーキング・エアドロップなどで暗号資産を取得した場合は、取得時点での市場価格に相当する利益を得たとみなされます。
ハードフォークによって新しい銘柄の暗号資産を得た場合は、取得時点では取引相場が存在しないため、利益を得たとみなされません。
複数回取引した場合の損益を計算する方法
暗号資産取引の損益は「(譲渡単価-取得単価)×譲渡数量」で算出されます。同一銘柄を複数回取引した場合、取得単価の計算(評価)方法として、総平均法・移動平均法のいずれかを選択可能です。
移動平均法を選択する場合は、確定申告期限までに所轄税務署に「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を提出しなければなりません。届出書を提出しなかった場合は、「総平均法を選択した」とみなされます。
総平均法
総平均法とは、年間の取得金額の合計を取得数量の合計で割って平均取得単価を算出する方法です。
移動平均法に比べて計算プロセスがシンプルで、時間・労力がかからないことがメリットです。ただし、期末にならないと損益を正確に把握できません。
移動平均法
移動平均法とは、暗号資産を取得する都度、取得単価を更新していく方法です。
総平均法に比べて計算プロセスが複雑で手間がかかりますが、期中でも(年末まで待たなくても)、リアルタイムで損益を正確に把握できることが利点です。
雑所得の税率および税金の計算方法
暗号資産で得た所得は、雑所得または事業所得に区分され、総合課税の対象とされます。所得税額は、総合課税の対象とされる各種所得(雑所得・事業所得・給与所得など)の合計額から所得控除を差し引いた「課税所得額」に税率をかけて算出される仕組みです。
「超過累進税率」が採用されており、下表に示すように、課税所得額が増大すると税率も上昇します。
課税所得額 | 税率 | 控除額 |
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、課税所得額が700万円の場合、所得税額は7,000,000円×0.23(税率)-636,000円(控除額)=974,000円と算出されます(ここから税額控除を差し引いた金額が、実際の納税額)。
必要経費を計上する際の注意点
所得税は、収入の金額ではなく、所得金額に基づいて課されます。経費がかかった場合は、収入から差し引きましょう。
電気代・通信費などに関しては、家事で利用した分と暗号資産の売買・マイニングなどで利用した分の両方が含まれることもあるでしょう。その場合、家事で利用した分と暗号資産の売買・マイニングなどで利用した分を按分し、後者のみを必要経費として計上しなければなりません。
税務調査に備えて、按分割合の合理的な根拠を示せるように領収書を保存し、利用時間などに関する記録を作成しておきましょう。
給与所得者で確定申告が必要なケース
年収2,000万円以下の給与所得者で、暗号資産による所得などの合計金額が20万円を超える場合は、税務署に確定申告する義務があります。
年収2,000万円を超える給与所得者の場合、暗号資産による所得などの有無・金額にかかわらず、確定申告が必要です。確定申告する際には、暗号資産で得た所得に関する事項も確定申告書に記入しなければなりません。
年収2,000万円以下の給与所得者で、暗号資産による所得などが20万円以下である場合は、確定申告は不要です。ただし、税務署への確定申告が不要な場合でも、自治体に対する住民税の申告は必要です。
確定申告・納税の義務を履行しなかった場合のペナルティ
納めるべき税金が発生しているにもかかわらず、確定申告・納税しなかった場合や、本来よりも少ない金額を申告・納税した場合、無申告加算税・過少申告加算税・重加算税・延滞税が課される可能性があります。また、刑事罰が科されるケースもあるため、税法に基づいて適正に申告・納税しましょう。
下表に、加算税の税率をまとめました。なお、税務調査前に自主的に期限後申告・修正申告した場合は、税率が軽減されることがあります。
| 加算税の種類 | 無申告加算税 | 過少申告加算税 |
| 税務調査後に適用される原則税率(本来納付するべき税額または新たに納付する税額に対する税率) |
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| 重加算税(仮装・隠蔽したと認定された場合の税率) | 40% | 35% |
延滞税は、納期限の翌日から納付日までの日数に応じて、下表に示す割合で課されます。
| 納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合 |
| 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 | 年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合 |
延滞税特例基準割合とは、前々年9月~前年8月の各月における銀行の新規短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た数値(前年11月末までに財務大臣が告示)に年1%を加算した割合です。
詳細は、国税庁公式Webサイトでご確認ください。
「令和8年度税制改正の大綱」で分離課税を導入する方針が示されている
「令和8年度税制改正の大綱」において、金融商品取引法などの改正を前提に、以下の措置を講ずる(分離課税を導入する)方針が示されています。
| 居住者等が、暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等に限る。以下「特定暗号資産」という。)の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、他の所得と分離して20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率により課税する。 |
改正法が施行された年の翌年から適用される見込みなので、国会の審議状況や金融庁公式Webサイトなどに掲載される情報をチェックしましょう。
「クリプトマネージ」で損益計算を自動化すれば、暗号資産で得た所得金額をスムーズに把握できる
暗号資産の売買などで得た所得は、原則として雑所得に区分されます(状況によっては事業所得に区分)。年収2,000万円以下の給与所得者は、暗号資産による雑所得などが20万円を超えた場合、税務署に確定申告しなければなりません。日々、取引に関する記録を作成したうえで、その記録に基づいて損益計算を行い、所得金額や所得税額を算出してください。
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